産休・育休など早くから導入 「サマータイム」も今年試験実施
--- 「働き方改革」や「ダイバーシティ」、「ESG(環境・ソーシャル・ガバナンス)経営」などへの取り組みはいかがですか?
キッコーマンは歴史がある会社だけに、体質も古いのではないかと思われるところがありますが、実は産休制度や育休制度などの諸制度はかなり早くから導入しています。たとえば、かつて、工場で働く女性社員のために、社内に保育園を設け、小さなお子さんのいるお母さんが働きやすい環境を提供していました。また、介護休暇制度は法律が施行される20年以上前の1978年に導入しています。食品会社では唯一、病院を経営しています。昔は働く人たちのための「養生所」でした。それを大正の初めに病院に変えて、現在では、地域の総合病院です。訪れる9割以上が一般の地域の方々です。
「働き方改革」では在宅勤務の導入に取り組んでおり、社員約1,300人を対象に、月4回まで取得できるようにしています。年休制度も使いやすいものにしました。年休取得を段階的に1日単位から半日単位、さらに1時間単位でできるようにしたのです。年休取得を1時間単位にすると、個人の自由度が高くなります。お子さんをお持ちの方は学校のPTAの集まりなどに参加する場合、従来の制度では半日休暇を使わなければなりませんでしたが、時間単位で休みが取れるため、年休を有効に消化できます。
今年は7月から8月の間、試験的にサマータイムを導入しました。導入に関しては社内でも賛否両論がありましたが、いま、成果について、社内でアンケートを採っています。その結果次第で、来年も導入を続けるかを考えます。サマータイム制を導入したことが「やっぱり良かった」という意見もあるでしょうし、その逆もあるでしょう。実際にやってみなければ、その結果を社員も実感できません。机上の空論でなく、実際に試してみて、意見を吸い上げる。そういう「ゆらぎ」を起こしていくことが必要と思っています。
「ダイバーシティ」に関してはこれまで話してきましたように早くからグローバルに事業展開していますし、今後もさらに進めていきます。さまざまな国籍や性別、年齢、障がいをお持ちの方々など、すべてを包括して「ダイバーシティ」に対応する必要があると考えています。それが企業の多様性につながり、企業力を高めていくからです。
「ESG経営」には長期的な経営展望のなかで、いかに事業を通じて社会の課題を解決できるかを考え、実行していきます。SDGs(国連の持続可能な開発目標)について「環境」「人」「食」の3つを大きなテーマとして、キッコーマンらしいやり方で社会の課題の解決に取り組んでいきたいと思います。