ミレニアル世代のファンづくり大切、スモールマスブランドとOne to Oneマーケ
そういう意味では、花王製品のファンとなっていただいている「コア層」の年齢が高いことは忘れてはいけないことです。コア層は50代、60代がメインであり、いわゆるミレニアル(millennial)世代においてはまだまだコア層となっていただけていないというのが実態です。ミレニアル世代はスマートフォン世代であり、一方で消費マインドではエシカル的な思考が強い世代です。花王はそこにターゲットとして焦点をうまくあてられていない、ファンになっていただいていないという思いがあります。今後、高齢化が進むなか、ミレニアル世代の支持を得ることは大切なことです。
ミレニアル世代をみるキーワードは「マスではない」ということです。テレビやそのCF、雑誌をあまり見たり、読んだりしません。必要な情報だけをスマホを通じて取得する世代です。このため、不特定多数を対象とするマスという発想が成り立ちません。周囲の友だちやSNS(交流サイト)を通じたお気に入りの有名人や特定の専門家、トレンドリーダーなど第三者の意見を参考にしています。その評判を聞いて行動する、そこはいわばスモールマスのビジネス領域です。花王はここになかなか入りきれていません。
特に、ビューティー(化粧品、スキンケア、ヘアケア)はまさにそうしたマーケットになっています。マスブランドではなく、一人一人にきめ細かく対応する、より小さなスモールマスブランドから、ヒットする製品が生まれ、ミレニアル世代に刺さるブランドが台頭しています。
こうした「One to One」マーケティングはミレニアル世代だけに通用するわけではありません。たとえば、高齢者にとって高い関心のある「健康」をテーマにした市場ではこの「One to One」マーケティングがポイントになってきています。
個人個人の健康状態や生活、暮らしにあわせて、その人にふさわしい提案をすることが重要です。ミレニアル世代にあわせたマーケティングのやり方を磨いていくことが、こうした高齢者の方に向けた「健康」に関連した商品やサービスのマーケティングの活性化、ビジネスの付加価値向上につながるものとみています。