後継者選びの決断は「第六感」、くらいついたら離さない
--- 12年前に決断されたライフコーポレーションの後継者選び、社長指名は理想的だったといわれています?
国も会社の経営もトップのリーダーの資質、これがすべてです。要するに、その手腕や力量、人格、識見に優れ、天下国家を論じ、物事の理非曲直の判断ができ、私権、私利私欲がなく、公平、正道、謙虚であること、これがないとトップは務まりません。会社は経営者の器量やスケールを超えることはできません。何事もこの一言に尽きます。しょせん、私は焼け野原に残った「野戦兵」のかたわれであり、「正規兵」ではないし、そういう教育や訓練を受けていません。岩崎高治社長とはまったく違います。岩崎社長には私とは違うものを感じ、任せることに決めました。それは間違いなかった。
彼を後継者に選んだのは勘、第六感、インスピレーションでした。20年前、流通業界の視察で訪れた英国のリバプールで当時、三菱商事から英国の同社子会社の食品メーカーに出向していた岩崎社長が偶然、現地の百貨店を案内してくれることになりました。初めて会うのに、不安な気持ちで、リバプールの駅で待ち合わせました。でも、彼のガイドを受けるなかで、話しぶりや気配りの仕方、見識、すべてが気に入り、「この人と一緒に仕事をしてみようかな」と思ったのです。そのころ、自分の器量に限界を感じており、このままでは経営が困難になるのではないかと感じていました。必死に人材を探していました。ちょうどその時だったのです。