若い人にはもっとメカニカル・リアルな世界にも目を向けてほしい
--- ビジョンの達成に向けて、社内のシステムや人の変化、ということもお考えですか?
たとえば社内では物事の決め方、物事の管理の仕方などで、まだまだ遅れている面があります。特にNSKのIT活用は世の中の動きと比べると少し遅れてしまったという反省があります。30年前の大ロット・多品種の製品を作る生産ライン用としては、かなり自動化・システム化が進んでいました。しかしそれ以降、メインフレームからクラウドへと世の中が動いていく時に、総務や人事などバックオフィスの部分でのIT化において、若干時代に乗り遅れてしまった感がありますので、ビジョン達成に向けた後半の5年間で、時代に追いついていかなければいけないと考えています。
また、「あたらしい動き」を形作る中でもう1つの重要な要素は、人のダイバーシティ・多様性という部分です。特に女性の活用については、この5年くらいでだいぶ進捗があり、女性幹部や女性取締役の予備軍が目に見える形で増えています。
そのため、今後は採用の面でも「リケジョ」の採用を増やしたいのです。やはり理科系の女性は相対的に多くないし、その中でも特にメカニカルな部分である機械系や金属材料を学ぶ学生はさらに少なくなる。非常に熾烈な人材の獲得競争になっていますので、そういった人たちをどう当社に惹きつけるか、どう関心を持ってもらうかということが課題です。
女性に限らず、今ではメカニカルエンジニアを志す学生そのものが減っています。そこで若い人たちにも、バーチャル、デジタルなどの仮想空間だけに留まらず、メカニカルなものやその動き、そしてリアルな世界にもう一度目を向けてもらいたいと思います。リアルを変えることでバーチャルな世界がさらに広がると考えれば、好奇心やワクワク感がさらに高まっていくと思います。世の中で使えるものにするためには、メカニカル、デジタルのどちらかではなく、両方が必要になるのですから。