社内SNSでカンパニー間の「壁」取り払う 経営陣とは毎日、One on Oneミーティング
--- グループ内や社内のコミュニケーションの活性化を大きな課題として掲げています。
組織風土改革、刷新の「柱」の一つが「コミュニケーションの活性化」です。私自身、率先して行ってきました。これまで経営トップが全社員に向けてメッセージを発信するのは映像での年頭あいさつをはじめ、年に2~3回程度でした。そこで私は年5回発刊だった社内報を月刊に変更し、隔月に「社長の視点」を掲載するようにしました。社内報はプリント版で、製造現場でも読まれるものですが、「社長の視点」の掲載がない月にはイントラネット上で事務・技術職に向けた「社長の視点」イントラネット版も発信しています。
現場へ出かけるコミュニケーションも重視、2018年は1,400人のライン長以上の社員全員と話をするため、合計13回、事業所に出向き講話を実施しました。1回に約100人と話し、厳しい経営環境にある危機感や川崎重工グループの目指すべき姿を共有しました。そこでも組織の活性化として、部下と積極的にコミュニケーションを取るよう助言もしてきました。
2年目の2017年7月に社内版SNS(交流サイト)を開設、口コミで参加者を広げ、いまではイントラネットの閲覧が可能な事務・技術職の約4割にあたる約3,000人が参加しています。SNSの目的はカンパニー間の「壁」を崩すことです。カンパニーの「壁」を越えて、情報交換できるツールをめざしています。研修の受講生や関連する技術者達などで、たくさんのコミュニティが生まれ、技術情報や輸出関連などの情報をやり取りするようになっています。
私もいろいろなコミュニティに入り、自分の思いをコメントしたり、社員が発信している情報に「いいね」を押したりしています。昨年、ライン長以上のコミュニティを作り、「若手社員の離職」について意見を述べたところ、大きな反響を呼び、5,000近いアクセスと60近いコメントが寄せられました。
経営陣とはOne on One(ワン・オン・ワン)ミーティングを推進、6人のカンパニープレジデントと本社の本部長4人とはローテーションで毎日、ミーティング時間を設けています。Face to Face(フェイス・トゥ・フェイス)で話ができない時はテレビ会議を利用します。全社員に「上司と部下が必ず時間を決めて話すこと」を勧めており、対話の機会が増え、SNS上の評判も上々です。
経営会議でも、議論が白熱するようになりました。私が意見をいっても、反対意見がいっぱい出てきます(笑)。最近、『衰退の法則』(小城武彦著)という本を読みましたが、「滅びる会社というのは経営会議で社長が『うん、そういうことかな』というと、誰も文句をいわない、始めからお膳立てやシナリオができている会社、一方で発展する会社は反対意見がどんどんでてくる」ということでした。そういう意味で川崎重工がさらに発展する方向に向けたいと思います。