作文コンクールを通じ、小学生がリアルな「将来計画」描く
--- 日本人はお金について考えることを避けるようなところがあります。日本FP協会では金融リテラシーの向上のための金融経済教育に積極的に取り組んでいると聞いています。
当協会は金融経済教育活動の一環として、全国の小学生を対象に「小学生『夢をかなえる』作文コンクール」を実施しています。このコンクールではまず漫画の課題図書を読んでもらいます。課題図書では、少年・少女が将来、何になりたいかを話し合い、その夢の実現に向けてFPがアドバイスするストーリーとなっています。年間で2万冊超の課題図書を無償配布しており、教育委員会が全面的に協力してくれる自治体もあります。
コンクールには将来の夢を描いた作文と、具体的に夢の実現への道のりをまとめたライフプランシートをセットで応募してもらいます。たとえば、小学校3年生が将来なりたいという夢を実現するためには、中学校でどんな勉強をして、高校・大学に進学し、人によっては留学することを考えるなかで、どのくらいお金がかかるということを両親と相談したりしながら、将来の夢を描いてもらうものです。
今年(2019年)で13回目を迎え、近年では毎年3,000~4,000通くらいの応募があります。第1回目のコンクールに作文を送ってくれた小学生は既に大学生や社会人になっています。その時に最優秀賞を受賞した小学生の夢は国際弁護士でした。その子は現在大学生で、弁護士ではないものの将来は国際関係の仕事を希望しているそうです。作文を通じてライフプランを「見える化」したことがきっかけで、物事を計画的に考えられるようになったと話してくれました。
また、第6回のコンクールで最優秀賞を受賞した「第三セクターの鉄道の社長になって地域の交通機関を守りたい」という作品の表彰状は、受賞した小学生が住む町の駅舎に飾ってあるそうです。そういう子どもたちが将来、本当に地域の足を守ったり、新しい交通アクセス手段を作ったりしてくれれば、少子化の日本でも必ず発展していくと期待しています。当初は小学校5~6年生をイメージしていたのですが、中・低学年部門と高学年部門とに分けたことで、いまでは全国各地、小学校1年生からも応募があります。