SDGs通じた社会貢献、企業成長性につながる期待 ESG投資家も評価へ
さて、以上の分析では企業価値の代理変数として資本コストを使いましたが、DCF法の分子に着目すれば、もう1つの変数として利益の成長率があります。資本コストが投資家の企業に対するリスク評価であるのに対し、成長率は企業のビジネスそのものの将来性に対する評価と言えます。つまり、ESGの文脈の中で企業は社会的貢献を通してどのように収益を拡大していくことが可能なのかという評価です。
これは、最近、注目度が高まっているSDGs(国連の持続可能性のある開発目標)の文脈でそれを考えることができます。企業はSDGsを通して社会的貢献を高める事業方針やその成長性を示し、ESG投資家はそれを評価することになるのです。
これまでのESG評価がリスクに着目しているのに対し、SDGsは成長性に着目していると言えます。企業が独自の戦略を打ち出せるSDGsに対する関心は高まってきており、筆者が座長をしている「京都大学ESG研究会」でも事業会社の担当者がSDGsベースの事業戦略について熱心に議論しています。
(日経MM情報活用塾メールマガジン5月号 2020年5月27日 更新)
次回は、
「具体的なESG投資の方法論」について解説します。