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導入事例 Case Study
中村久和氏(左) 井垣友希氏(右)

「スーパーフード」梅干し、市場は日々変化
POSデータで分析し、営業支援

株式会社トノハタAdobe PDF file icon

営業第二部 部長代理 兼 マーケティング担当部長 中村久和氏(左)
セールスマーケティング室 東京営業所 井垣友希氏(右)

導入しているサービス
  • 日経POS情報・POS VISION

 2018年夏、記録的な猛暑のなかで、テレビ番組で熱中症予防に効果的と紹介され、ブームに火が付き、一部店頭で品薄となった梅干し。もともと収穫高や価格の変動、天候などにより日々、需要が変化する商材といわれてきたが、生産や在庫を適正に管理し、売り上げを伸ばしたいメーカーにとって、最近の気候変動の激しさやメディアによる影響力の拡大によって、対応の難しさに拍車がかかっている。和歌山県みなべ町に本社を置くトノハタは店頭の小さな動きをキャッチし、分析するツールとして『日経POS情報・POS VISION(以下POS VISION)』を活用、マーケティングの効率化、営業支援の強化に取り組んでいる。

毎年、変わる商品 量や価格など加味し、きめ細かく市場動向を把握

 梅は毎年6月前後に収穫、梅干しとしての商品化は早くても2~3カ月後。梅の収穫量は一定ではなく、取引価格の動きも激しい。このため、梅干しという商品自体、内容量や価格も変動し、毎年、リニューアルされているという。トノハタ営業第二部部長代理 兼 マーケティング担当部長の中村久和氏は「パッケージデザインなどはあまり変わらないのですが、商品を識別するJANコード(商品コード)が変わるため、売り上げ推移の比較が難しくなっています」と話す。
 中村氏は「商品の変化に伴う、内容量や価格の変動を加味しながら、データを読んでいく必要があります」と指摘、POS VISIONを使ってデータを細かく分析し、営業担当者にはどのような商品がどこでどう売れているのか、詳細にチェックしたうえで、情報を提供しているという。
中村久和氏

スーパーなど取引先に大きな「説得力」 他社チェーンとの売り上げ比較の参考に

 トノハタが東京営業所にPOS VISIONを導入したのは3年ほど前。バイヤーも経験したことがある中村氏は「商品を売るためには何らかの指標が大切。POS VISIONはパブリックなデータとして、取引先にも説得力があります」と強調。長年の経験から実感しているそうで、「営業担当者はトレンド分析をした提案書とともに、その根拠となるPOS VISIONのデータを持って行くと、取引先にも喜ばれます」という。
 スーパーなどは自社のPOSデータは持っているが、他社を含めたデータは持っていないことが多い。自社のデータとPOS VISIONのデータを比べることで、他社では売れているのに自社では売れていないなど、売り上げのギャップを確認することができるという。

営業担当者による「現場」定点調査とリンク、実直な「棚割りソフト」に

 また、トノハタは現場の定点調査も重視している。営業担当者は130社ほどのスーパーを回り、棚割りやイベントなどでの売り方や売れ行きをヒアリングして調査している。調査は年2回実施。現在、POS VISIONのデータをあわせて分析しているそうで、中村氏によると「2つをリンクさせることで、梅干しの市場動向をより論理的に把握できるため、そのまま、すごく実直な『棚割りソフト』になりえます」という。
 梅干しの需要動向には季節要因が大きく作用、特に、夏場に売れるのが特徴だ。2018年夏は酷暑となり、テレビの情報番組で「梅干しはスーパーフード、熱中症対策にいい」と紹介されてからはブームとなり、7月のピークには例年の約2倍近い売り上げになったという。それまで、梅干しを毎日、食べるという習慣は薄れていたが、スーパーフードと認識されてから、日常的に食べる人が2割増えたという。

テレビの影響大、欠かせない日次確認 月次データはイントラへ 営業現場も活用

井垣友希氏
 POS VISIONを使ってデータを分析しているセールスマーケティング室東京営業所の井垣友希氏は「特に、テレビの影響が大きいため、放映後の動向を日々、追っています」という。また、店頭でのイベントやキャンペーンの影響にも注目、それだけに日次データのチェックは欠かせないそうだ。
 さらに、セールスマーケティング室では月次でもデータをまとめ、月1回、社内のイントラネットにアップし、営業担当者がいつでも取り出せるようにしているという。POS VISIONのデータを、産地や塩分、味わい、種抜き、おにぎり用、大粒、小粒など、カテゴリーを作って分類し、わかりやすく使いやすいグラフもあわせて提供。「年4回、こうしたPOS VISIONのデータと定点調査のデータをもとに提案書を作成しています」(井垣氏)。
 営業スタッフが直接、POS VISIONを活用するケースも多く、担当エリアやプッシュしたい商品などに絞り、データを確認している。POS VISIONのわかりやすく、誰もが使いやすい操作性が評価されているようだ。

健康食品としての機能性に注目 大学と連携、医学的な解明進む

 梅干しの市場規模は現在、年間400億円程度、300社ほどのメーカーがしのぎを削っているという。中村氏は「いまのままでは市場規模自体は広がっていかないだろう」と危機感を募らせている。中村氏によると、今後、市場が拡大するためには、「ご飯のお供(とも)としての梅干しではなく、どれだけ機能性を追求し、健康食品として展開できるかどうかにかかっています」と話す。
 梅の効能は昔から語り継がれていたものの、医学的には解明されていなかった。しかし、トノハタを含む和歌山の梅加工会社4社と和歌山県立医科大学が連携し、ここ数年、いくつかの梅の効能が医学的に解明されている。
 いま、アピールしているのが「バニリン」と「リグナン」という成分だ。バニリンには脂肪燃焼作用があり、ダイエットに有効とされる。リグナンは植物ポリフェノールの一種で、胃がん予防や抗酸化活性作用、インフルエンザ予防などに効果を示す成分が発見されている。すでに「バニリン」を商品名に使っている製品もある。中村氏は今後、POS VISIONで健康食品のデータを分析することを検討、さらに、「梅を使った商品についても梅干しだけではなく、ドリンクにするのか、スイーツ的なものにするのかといった、商品の多角的な開発が必要になるでしょう」という。トノハタはすでに梅エキスゼリーを商品化、梅の栄養素が何個分入っているといったプロモーションを展開している。
トノハタ

スイーツ、サプリなど商品開発深掘り あわせ買い分析も必要 海外市場も視野

 井垣氏も「食事にあわせるだけでなく、たとえば、食後のスイーツとして食べるとか、毎日サプリのように食べるならこの梅干し、といったように、深掘りした商品開発をし、食卓への出現頻度を高めたい」と話す。このためにも井垣氏は「POSデータの取り方も変わってくるでしょう。消費者が梅干しと一緒に何を買ったかというバスケット(あわせ買い)分析も必要です。梅干しにはまだまだ大きな可能性があると思います。今後は売り場も変えるくらいの方向性を見つけ出したい」と意気込んでいる。
 さらに、中村氏は海外市場の開拓も視野に入れているそうだ。「梅干しは日本特有の食文化で、たとえば、中国では甘いお菓子の梅が一般的で酸っぱい梅はありません。しかし、2020年は東京オリンピック・パラリンピックがあります。外国人が嫌うのは酸味、塩分、種であり、これを取り除いた商品を開発中で、オリンピックをきっかけに勝負したいと思っています」。
 
(日経MM情報活用塾メールマガジン5月号 2019年5月27日 更新)

企業プロフィール

企業名 株式会社トノハタ
事業内容 梅干しおよび梅関連製品製造、販売
代表者 代表取締役 殿畑 雅敏
本社所在地 和歌山県日高郡みなべ町西岩代195-1
資本金 2,900万円
従業員数 140人
Webサイト https://www.tonohata.co.jp/

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