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導入事例

導入事例 Case Study
営業部門 営業戦略室 石川由子氏<br />
営業部門 営業第一グループ 伊藤有希氏

パッションだけでは通用しない
営業にたくさんの「武器」持たせたい

株式会社ロピア

営業部門 営業戦略室 石川由子氏(左)
営業部門 営業第一グループ 伊藤有希氏(右)

導入しているサービス
  • 日経POS情報 POS EYES

 「絹ごしプリン」や「THEタルト~濃厚チーズ~」などのヒット商品を持つチルドスイーツメーカーのロピア(本社:愛知県清須市)が新型コロナウイルス感染症拡大で高まる「巣ごもりニーズ」をとらえようと、POSデータを活用した新商品の開発や既存商品の販売促進策に取り組んでいます。消費者の行動や嗜好がウイルス感染拡大に歩調をあわせて変化し、その激しさを増す市場のなか、営業部門の後方支援としてデータ分析と提案、検証を担当する営業戦略室の石川由子氏、営業第一グループの伊藤有希氏に、日本経済新聞社が提供する『日経POS情報』の活用法をうかがいました。

コロナ禍で中食ニーズ高まるなか、競争は激しく 読み難しくなり、常に検証必要

――コロナ禍による市場の変化や業績への影響はいかがでしたか?

 石川氏:2020年春に緊急事態宣言が発令され、巣ごもり消費の一つである中食のニーズは伸びました。しかし、中食に関連する食品メーカーがすべて業績を伸ばしているかというと、そういうわけではありません。各社ともこのニーズの波に乗り遅れまいと競争が激しくなっているのが現状です。
 ロピアが扱っているのはスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店で販売されるチルドスイーツというカテゴリーです。秋のGoToトラベルやGoToイートで消費者は一時、外で消費するようになりましたが、それでもデザート市場は伸びました。ただ、外出自粛が叫ばれると、やはり小売店の来店客数は顕著に落ち込み、売り上げに影響します。そのあたりのニーズの読みがとても難しいのです。
 うまく波に乗れているのか――― 。その検証は常に行っています。商品が市場に受け入れられているかどうか、特に、変化の激しい昨今は消費者の嗜好の変化を常にキャッチアップしていかなければなりません。「日経POS情報・POS EYES(以下、POS EYES)」のデータで検証し、次の戦略にいかしていく必要があります。
 

活用頻度アップ 月次から週次、日次、エリア別などきめ細かく分析 

――POS EYESをどのように活用して「検証」を行っているのですか?

 石川氏:営業戦略室では営業の後方支援や新商品開発のために、POS EYESのデータを活用し、市場調査やトレンド、嗜好傾向などを分析しています。
 特に、この半年はPOS EYESのデータ活用の頻度や幅が急激に増えました。コロナ禍により市場の動きが読みにくくなったからです。小売市場全体の販売金額や来店客数の動向を読みながら、小売市場全体とデザート市場を比較し、どのような商品展開がよいか、どのようなアプローチがよいかといった点を日々検証、検討しました。以前は月次データを活用していたのですが、それだけでは市場動向を追いきれず、週次データ、日次データ、さらにはエリア別にと細かく活用するようになりました。
2月商品ラインナップ

――エリアの違いでデザートの売れ筋商品が変わってくるのですか?

 石川氏:ロピアには西日本と東日本で2つの拠点があります。最近の自社の出荷実績では、西と東でかなり傾向が分かれることが多くなってきました。たとえば、同じシリーズの商品でもイチゴやチョコなどフレーバーの違いで売れ行きが変わります。トレンド商品でも受け入れられる地域とそうでない地域があります。その傾向を随時、市場動向と一致しているのかPOS EYESで分析します。
 また、毎月15アイテムほどの季節に合わせた新商品を発売しますが、販売期間は1カ月程度に限定されます。非常に短いサイクルで市場に展開しますので、エリアの違いによる嗜好傾向が追いきれないことがあります。これは今後、改善していきたい課題です。

商品開発に裏付けデータ 営業現場に浸透 小売店への提案活発化

――POS EYES活用のメリットをどこに感じていますか?

 石川氏:商品開発から販売、販売終了後の検証までPOS EYESを活用しています。新商品提案ではPOS EYESのデータを示し、どのような裏付けがあって開発・発売をするのかを企画書に記載します。商品発売後には、どのように売れたのかを、自社の出荷実績だけではなく、そのカテゴリー全体、また、競合他社の商品と比較したうえで、市場に受け入れられたのかどうかを確認するため、データを活用しています。
 データはCSVで取り出し、グラフ加工したりできるので便利です。開発会議などで、あの商品の動向はどうなっているか、といった質問が出たとき、ワンクリックでグラフを見せることができますので、説得力も増します。
 営業サイドにもPOS EYESのデータによる裏付けの大切さが浸透してきました。いまでは営業サイドから「商談時に市場動向の推移を裏付けに提案したいけど、POS EYESではどんな評価が出ているのか」と要望が出てくるほどです。
 伊藤氏:ロピアから小売店に販売促進キャンペーンなど戦略的な企画提案を行うこともありますが、その際にも提案の裏付けとなるPOS EYESのデータがあると、クライアントの納得度が違います。いまでは、ロピアが市場の裏付けとなるデータを持っていることが小売店へも浸透してきており、コミュニケーションのきっかけになってきています。
 結局、営業の現場はパッションだけでは通用しません。しっかり、市場の分析を踏まえて開発、提案しなければ採用に結び付かないのです。

コラボ商品やPBの企画などにアイデア、営業のモチベーション向上

――コラボレーション商品の開発にもデータがいかされたそうですね。

テオブロマ監修商品
 石川氏:デザート市場にとって大きなイベントである2021年のバレンタインデーでは、コラボレーション商品を開発しました。東京渋谷にある人気手作りチョコレート専門の「テオブロマ」に監修を依頼した商品です。この時も、たとえば、競合他社の監修商品が市場にどう受け入れられたのかを徹底的に検証し、オーナーシェフの土屋公二さんとともに創り上げました。結果的に、低価格帯、中価格帯ともにロピアにとっては強いカテゴリーの商品展開が生まれ、好評です。監修をつけたことだけではなく、POS EYESのデータを活用し、しっかりと市場を分析したうえで開発に成功したことで、営業のモチベーションも上がったようです。
 伊藤氏:プライベートブランドの商品開発は定番商品で売り上げを上げたいのか、話題の商品を作りたいのかなど、小売店の営業戦略を踏まえて行います。逆に、何をどう作ってよいのかわからない場合もありますが、その際にもカテゴリーやフレーバーをどう絞っていくか、POS EYESのデータを検証しながら進めていくことでアイデアが浮かんできます。

後方支援に力、アピール材料に「武器」を 分析力さらに高める

――今後の展望についてお聞かせください。

 石川氏:営業戦略室として、もっと営業の後方支援に力を入れたいと思っています。営業担当者の個々の能力に委ねるだけではなく、可能な限りたくさんの「武器」を持たせてあげたいです。 コロナ禍では商談もオンラインで行われることがありますが、POS EYESを利用してデータを企画書へ落とし込み、商談前にメールで送ることができますし、画面でデータを共有することもできます。
 自社のアピール材料としての「武器」を持たせることが大切で、そのための重要なツールとなるのがPOS EYESです。組織として戦略的に自社の商品を売っていくうえでも、POS EYESのデータは欠かせません。データをさらに活用するため、私たち自身がもっと分析力を高めていくことも必要だと思っています。

(2021年2月3日、取材日の情報をもとに構成しています)

企業プロフィール

企業名 株式会社ロピア
事業内容 チルドスイーツの企画・開発・製造
代表者 代表取締役社長 吉田 直哉
本社所在地 愛知県清須市下津町北下河原1-4
資本金 20,000 千円
従業員数 約850人
Webサイト http://www.ropia.co.jp/

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