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セミナー

就活支援のための情報活用セミナー2017

開催日時 2017年09月12日(火)
14:00-17:00
開催地 東京
プログラム ■講演1:「2019年卒 就活を考えるヒント」  株式会社 リクルートキャリア 就職みらい研究所  所長 岡崎 仁美 氏 ■講演2:「大学の就職支援・キャリア教育におけるデータベース活用」  山口大学 学生支援センター・就職支援部 教授 平尾 元彦 氏

講演1:「2019年卒の就職活動を考えるヒント」

 就職みらい研究所所長の岡崎仁美氏がまず、強調したのが就職戦線の実態を冷静に見極める必要性でした。

 有効求人倍率は2018年卒の大学生で1.78倍です。一般に1.3倍を切ると「氷河期」という認識が広がり、1.6倍を超えると「売り手市場」という報道が増えるそうです。しかし、岡崎氏は「1.78倍はあくまで平均値で、業種別に見ると流通業が最も高く11.32倍、金融業は0.19倍で、金融業は有効求職者数5人に対し有効求人数が1人という狭き門です」ということでした。また、「企業を規模別に見ると、全体の7割を占める中小企業は6倍超の高水準ですが、超大手企業は0.59倍で、希望者の6割しか採用されません」。

 有効求人倍率は1.6倍を超えて4年が経過しているとはいえ、局地戦では厳しい戦いを強いられている学生がいることがよくわかるデータを紹介してくれました。

 また、岡崎氏がポイントと考えていることが「学生のマルチタスク能力」でした。就職活動は3月から4月に、広義・狭義問わず、会社の選考がピークを迎えるようになっているということです。この期間にエントリーシート(ES)の提出、企業合同説明会、個別企業説明会、適性検査、筆記試験、面接などが行われますが、「学生はこうしたさまざまなプロセスを同時にこなしていかなければならない」といいます。

 2019年卒の展望のなかで、岡崎氏がキーワードとして「インターンシップの活用」を挙げて説明してくれました。インターンシップは年々増加しており、今年度の新卒採用企業の約7割が実施予定としている調査データを示しました。調査では、会社側はインターンシップの目的は「自社を含め業界・仕事の理解を促進させる」が約9割で、「採用に直結したものとして実施」は1割弱と回答していますが、実施企業の7割強は「内定者にインターンシップ参加学生がいた」ということです。

 岡崎氏は「企業は『インターンシップ参加学生は前提の知識があるため理解が早い』と判断し、広報開始直後に『ES提出』『適性検査』を依頼しています。この傾向は今後も増えて、19年卒の内定率は2018年卒より、さらに早めに進捗する可能性がある」と分析しました。

 こうした状況の中、「学生にとって就職活動で得た知見は単に就職するためだけのものではない」と岡崎氏は述べました。

 「"新人は3年で辞める"といわれて20年ほどがたちますが、就職みらい研究所は『社会人としての自覚』と『自己理解』を備える『就業レディネス』が高い人材は、就業後に仕事への適応を促進していく行動をとることができるという因果モデルを見出しました」と説明。「就業レディネスは就職活動を通じて獲得することができる」と強調しました。

 岡崎氏によると、就職活動では"相手を知る"、つまりインターンシップを含めて企業・業界研究をするわけですが、結果それは"自分を知る"自己分析につながるということでした。「この"相手を知る""自分を知る"を繰り返し行うことで、将来にわたって機能する普遍的な力を身につけることができるのです」。

 つまり就職活動自体が入社後のキャリア形成にも大きな影響をもたらすということです。

 最後に、岡崎氏は「企業が採用で重視する項目」と「学生がアピールした項目」のアンケート集計を対比したグラフを紹介しました。

 グラフではESや採用面接などで、学生はアルバイト経験や部活動経験をアピールしていますが、企業が重視するのはその経験をどう活かしたいのか、活かそうとしているのかという点であることがわかりました。

 岡崎氏は「学生のみなさんにはこれまでのキャリアを振り返り、そこから今後の人生における"so what"(だから何なの?その意味は?)を探求する力を身につけてほしい」とアドバイスしてくれました。

講演2:「大学の就職支援・キャリア教育におけるデータベース活用」

山口大学学生支援センター・就職支援部教授の平尾元彦氏は山口大学の3年次に組まれているキャリア教育のカリキュラムを紹介しながら、その学習の目標として特に重視しているのは「経済・社会の理解と実践力を身につけること」と話してくれました。平尾氏には今の学生は世の中に対しての関心が薄いように思えるそうで、「授業をきっかけに、社会のこと、会社のこと、仕事のことについて、いかに興味を持たせるかが重要」と指摘しました。

 このため、平尾氏の授業では「まず、新聞の読み方、『日経テレコン』の使い方について説明する講座から始める」といいます。学生はネットには情報がいっぱいあるし、ネットは正しいと判断し、思考の範囲もきわめて狭く、そこに答えさえあればそれでいいと思いがちといいます。理由や背景に興味はなく、応用がきかないし、自ら問い発することもないという問題点を示してくれました。

 平尾氏は「新聞を読むことで、そこから何が分かるのかを理解すれば、次には何を調べたらよいのか、自ら問いを立てる力が身に付きます」と強調、新聞を読ませることから始める理由を説明しました。そして、新聞記事をメーンとしているデータベースである『日経テレコン』は学生の新聞を読む力をまた、サポートしてくれる道具とも位置付けているようでした。

 授業の最後には、平尾氏は学生に課題レポート「ビジネストレンド」を提出するように指導しています。これは業界研究の一つの手法として、新聞記事を活用して情報を収集し、その記事を深掘りして、業界の課題や対処法を探っていこうというものです。「こうした授業を通して、データベースの活用方法を学びます。課題を設定して、ニュースを検索し、さらに深掘りをしていく。すると"気になるニュース"が"気にするニュース"へと変わっていくのです」。

 平尾氏は学生の課題として「検索方法を知らない」「深く知ろうとしない」「見出しから中身が推測できない」を挙げて、授業では具体的な検索方法もしっかりと教えているといいます。
山口大学の新聞を活用したキャリア学習
 また、平尾氏は「就職活動での効果的アプローチ方法としても、検索の仕方を具体的に指導しています」と加えてくれました。

 志望企業の発掘には『じぶんワード』を持つように教えているそうで、気になる専門用語を検索していくと、意外な企業名がでてくることを学生に示しているといいます。また、山口大学では公務員・教職員を目指す学生が多いため、「採用試験の際の論文・グループディスカッション対策として、問題意識検索を薦めており、たとえば、空き家問題、環境問題など今の社会の課題について調べるように指導します」。

 こうした授業を通して問題意識を高めたある学生の、面接での成功例を挙げてくれました。学生は面接の最後に人事担当者から「何か(当社に対して)聞きたいことはありますか?」と聞かれ、「ライバル会社では新規事業に取り組んでいますが、その事業について御社はどのようにお考えですか?」と尋ねたところ、人事担当者との間で話が盛り上がり、内定を得たということです。

就職活動と段階的検索アプローチ

 平尾氏は「新聞を読んでいない人に日経テレコンの有効性は分からない」と話し、あらためて、学生に新聞を読ませることに重点を置いていることを強調。さらにキャリア教育の現場から、データベース活用の大切さを次のように語り、締めくくっていただきました。

 「学生たちは、会社・役所の仕事を通じて、社会に役立つ人になっていきます。そのために必要な力を、身に付けてほしい。『日経テレコン』はそのための有効なツールとなります。自らのキャリア形成に、このツールをどのように使っていくのか。私自身も日々模索しながら、大いに活用していきたいと思います」