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  • 日経人事情報セミナー「営業支援システムを“使い切る”データ選びと具体的活用法」

日経人事情報セミナー「営業支援システムを“使い切る”データ選びと具体的活用法」

 日経メディアマーケティングは2019年3月、「営業支援システムを“使い切る”データ選びと具体的活用法」をテーマに『日経人事情報』セミナーを開きました。営業組織・人材づくり支援で実績のあるコンサルティング会社、TORiX株式会社代表取締役の高橋浩一氏と、株式会社セールスフォース・ドットコム、インサイドセールス本部エンタープライズ事業部第四営業部部長の加藤鉄平氏の専門家2人を招き、データを効率的にいかし、売り上げ増と営業組織の強化・人材育成につなげる営業支援システム(SFA)の利用法を、実例をまじえ、解説していただきました。

開催日時 2019年3月7日(木)
14時~16時30分(13時30分開場)
開催地 東京
内容
  • 講演1「なぜ、大事な情報が“使える”状態でシステムに入っていないのか?~導入したSFAを使い切るための組織の風土改革~」
     TORiX株式会社 代表取締役 高橋 浩一 氏
  • 講演2「セールスフォース・ドットコムが実践する分業モデル『The Model』と『日経人事情報』の活用事例」
     株式会社セールスフォース・ドットコム インサイドセールス本部
     エンタープライズ事業部 第四営業部 部長 加藤 鉄平 氏

高橋浩一氏 「なぜ、大事な情報が“使える”状態でシステムに入っていないのか?~導入したSFAを使い切るための組織の風土改革~」

営業マネジメント現場の課題から、3つの改革テーマを抽出

 高橋浩一氏はこれまで3万人におよぶ営業担当者を対象としたコンサルティングや研修を通じてみてきた営業マネジメント現場の課題の実態をふまえ、営業支援システム(SFA)の活用には「コンスタントに営業成績を上げる組織づくりと、そのために文化としての風土改革が大切」と強調。特に、大事なデータが「使える」状態でSFAに入っている文化とするための風土改革のテーマとして、「絶対に外してはいけない、たった1つのキーワード」「エースを組織の中で活かす」「三位一体の総力戦で文化をつくる」という3つを指摘しました。

「接戦」データ蓄積で、顧客判断基準を可視化 失注からも受注からも「学ぶ」文化へ

 高橋氏は講演の冒頭で、外せないキーワードとして「接戦」を挙げ、ライバルや競合としのぎを削る「接戦」にこそ、失注からも受注からも「学ぶ」文化をつくることができると話しました。高橋氏によると、受注獲得のための最大の課題は実は「価格」ではなく、「費用対効果」ということでした。SFAを通じて、「接戦」のデータを蓄積することにより、「顧客の判断基準」を可視化、選ばれるために何をすべきかを明確にし、勝ちパターンの構築に向けてブラッシュアップするPDCA(計画・実行・評価・改善)の必要性を力説しました。

高橋浩一氏

「エース」活用、ロールプレイング動画が効果的 軌道修正力や商談力などを見本に

 また、2つめのテーマとした「エースの活用」について、エースを巻き込んだ接客ロールプレイング動画を作成し、SFAにアップした事例を紹介しました。顧客役、営業役、オブザーバーに分かれ、商談の様子を15分間程度の動画に仕立てたもので、エースには客観的な軌道修正力と相手の反応を見ながら商談する能力が備わっていることが動画を通してわかるそうです。高橋氏はある企業で実践したところ、翌日の動画アクセス数はきわめて高いものになったといいます。「だれもがエースのノウハウを学びたいと思っている」(高橋氏)なか、動画であれば、忙しいエースの時間もとられないメリットがあるということでした。

KPIとひもづけて成果検証、個人成績の変化をモニタリング

 ただ、高橋氏はアクセス数だけではなく、公開した動画の成果をKPI(重要業績評価指標)とひもづけて、時系列で分析する重要性を指摘しました。受注率や見込み顧客数など、動画を見た個人の成績がどのように変化していくか、モニタリングしてチェックしていく姿勢が求められるといいます。動画を作成する時から、こうしたKPIや目的を意識し、エースの着眼点からそのKPIに沿った解決策を丁寧にロールプレイングへ織り込むことで、よりきめ細かな成果分析と、動画改善への知見も得ることが可能になるということでした。継続的なエースの育成やエース自身の人材育成力向上にも効果的といいます。

事業トップ・現場マネージャー・企画部門の「三位一体」が重要、それぞれに役割

 最後に、高橋氏が3つめとして挙げた「三位一体の総力戦」とは「事業トップ」「現場マネージャー」「企画部門」がSFAの活用などを通じて「データを使いこなす文化」を一体となって作っていく姿勢でした。高橋氏によると、「事業トップ」の役割は課題の抽出とKPIの絞り込み、「現場マネージャー」は現場エースの力を借りながらも、データを分析し、活用して具体的なアドバイスを的確に出すことでした。そして、「企画部門」はそもそものデータをより有効なものにするために、現場の忙しさをクリアし、入力率を向上させること、『忙しいからできない』では片づけずに構造的に考えていくこと―――と話しました。

データを使いこなし、「やることをやればできる」組織づくりへ

 高橋氏は講演のなかで、営業担当者をパフォーマンスにより、次の4つのカテゴリーに分類し、売り上げの増加や売れる組織づくり、人材育成のためには、ゾーンごとにきめ細かく対応することの大切さを説明しました。
(A)行動の質・量ともに良い(いわゆるこのゾーンがエースです)
(B)行動量は良いが質に難
(C)行動の質は良いが量が少ない
(D)行動の量・質ともに要改善
 「三位一体」となって「データを使いこなす文化」をつくっていくことで、4つのゾーンにばらつきがある状態から、量を増やしていけば(つまり、やることをやっていけば)、達成率や質も上がっていく営業組織、人材をつくることができるとしました。

高橋浩一氏

東京大学経済学部卒業。ジェミニ・コンサルティング(後にブーズ・アンド・カンパニーと経営統合)を経て25歳で起業、企業研修のアルー株式会社に創業参画(取締役副社長に就任)。2011年にTORiX株式会社を設立し、代表取締役に就任。上場企業を中心に50業種3万人以上の営業強化を支援。行動変容を促す構造的アプローチに基づき、年間200本の研修、800件のコンサルティングを実施

加藤鉄平氏 「セールスフォース・ドットコムが実践する分業モデル『The Model』と『日経人事情報』の活用事例」

インサイドセールスの重要性に注目高まる

 加藤鉄平氏は営業支援システム(SFA)大手、セールスフォース・ドットコム社の立場から、まず、同社が分業営業モデルとして提唱している『The Model』を紹介。(1)潜在顧客から(2)見込み顧客を効率的に育成し、さらに(3)外勤営業担当者へ引き継いでいく―――大きな流れのなかで、内勤営業部門として主に見込み顧客の育成を担う「インサイドセールス」の重要性にここ数年、注目が高まっていることを話しました。

「日経人事情報」活用で、情報収集時間が3分の1に短縮

 加藤氏によると、インサイドセールスで大切なことは、まず、その入口である「ターゲティング」にあるといいます。加藤氏はいかに優先順位を明確にしてターゲティングするか、主に2つの手法があることを解説、1つがターゲットの特徴をつかんで、狙ったターゲットに個別にアプローチする「アカウントベースドマーケティング」であり、もう1つがマス媒体を活用しながら効率的にターゲティングしていく「マスマーケティング」でした。
 加藤氏は自社の事例として、潜在顧客リスト2,000社から、まず、アカウントベースドマーケティングで300社、マスマーケティングで1,400社に絞って、インサイドセールスを展開していることを披露しました。

加藤鉄平氏

人事異動情報、プッシュ通知でリアルタイム把握 リスト更新も機動的に

 具体的には加藤氏はまず、300社について、それぞれの会社について、「なぜ(顧客に)会いたいか」「会うことの(顧客の)メリットは何か」を顧客に伝わるようなダイレクトメール(DM)を送る手法を選択。そのために効率的に顧客情報を収集するため、「日経人事情報」を利用していることを話しました。一般のウェブ上にある情報ではなかなか探せない、顧客のビジネスに直接、関連する情報がニュースを含めて収集することが容易にできるため、これまで情報収集にかかっていた時間を3分の1に短縮できたといいます。
 さらに、人事異動は顧客にアプローチするきっかけとなるため、「日経人事情報」のプッシュ通知サービスが便利と評価しました。人事異動情報をほぼリアルタイムで漏れなく把握することで、ターゲットとしての優先順位の見直し・変更やリストの更新などを通して、効率的かつ機動的なターゲティングが可能になったと話しました。

マスでも常に新しい見込み顧客へアプローチ つながりあれば、自社データへ蓄積

 一方、マスマーケティングの1,400社について、「すべての会社のキーマンにアプローチするのは不可能」(加藤氏)というなか、これまで営業イベントを案内する場合など、セールスフォースに格納されている名刺から営業責任者という項目での抽出しかできませんでしたが、より幅広くデータをそろえている「日経人事情報」のリストを使うと、イベントの内容や対象に応じて抽出作業をしたり、新しく営業部長に昇格したばかりの人を抽出したりできるほか、クロス抽出が可能になった事例などを話しました。
 加藤氏は常に新しい見込み客に効率的にアプローチすることができるメリットは大きく、返信用のハガキをつけてアプローチしたところ、二ケタ(率)の反応を得ることができたといいます。新しいつながりができれば、それがセールスフォースにもデータとして蓄積されていくことも強調しました。

自社の取り組みを実例として紹介、成功体験共有へ

 セミナーを通じて加藤氏は、セールスフォース・ドットコム社が自社SFAを活用したインサイドセールス業務について、今回のように自社の取り組みを実例として紹介したり、具体的な視察を受け入れたり、勉強会を設けたりするなどし、ユーザーをサポートする取り組みを続けていることを話しました。

加藤 鉄平氏

2017年、クラウド型CRM(顧客管理)アプリケーションを中心としたクラウドコンピューティング・サービスの会社であるセールスフォース・ドットコムに入社。財務SaaSベンダー、セールスフォース、EPRベンダーを歴任し、現在、インサイドセールス本部エンタープライズ事業第四営業部部長