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導入事例

導入事例 Case Study
朝倉和子氏(右) 福田裕実氏(左)

最新情報をデジタルサイネージで視覚化
イノベーターへ「気づき」のタネ植える

パナソニック株式会社

イノベーション戦略室 共通技術サポート部 技術活用推進課
主務 朝倉和子氏(右)
   福田裕実氏(左)

導入しているサービス
  • 日経BPビズボード

 2018年に創業100周年を迎えたパナソニックが新規ビジネス創出とその成長加速に向け、体制の強化を加速させている。2017年に本社直轄の研究開発部門を改変した「イノベーション推進部門」に、社内の各カンパニー単独では成し得ない新しいビジネスモデルの構築と事業化に取り組む「ビジネスイノベーション本部」を設置し、同じ部門内の先進的な「技術、モノづくり」を研究開発する本部・センター、そして「デザイン」を戦略的に取り組む組織と緊密に連携していく体制を整えた。この部門でイノベーションを加速する技術戦略の企画・推進機能を担う「イノベーション戦略室」は、研究開発や事業開発を行う“現場”をサポートする立場から、日経BP社が提供する情報サービス「日経BPビズボード」を今から15年ほど前に導入、社内のイノベーターたちに最新の技術・トレンド情報を迅速に提供し、外部との交流や自らの研究開発・事業開発に活かして、オープンイノベーションを実践するための仕組み作りを進めている。
 イノベーション戦略室 共通技術サポート部 技術活用推進課の朝倉和子氏と福田裕実氏を訪ね、「日経BPビズボード」の具体的な活用法、導入効果などをうかがった。

「共創」めざす、こだわりの空間 すべての人の五感を刺激

 パナソニックは「日経BPビズボード」の専門情報を研究者向け「情報ポータルサイト」に掲載、さらに、グループの研究者はもちろん社外パートナーも含めた多様な人々と交流する施設として2016年に開いた「Wonder LAB Osaka」(大阪府門真市)のライブラリースペースで、「日経BPビズボード」の情報を画像イメージや写真などが持つビジュアル性をいかしたデジタルサイネージ(電子看板)として配信している。
 「少し前まで、企業はまず効率化を図り、 閉じた環境で極秘裏に開発することで、他社との競争に勝つ時代だったように思います。しかし、今は多くの人や組織と交わり、ともに創る時代です。そんな時代に対応するべく誕生したのがWonder LAB Osakaなのです」と語るのは朝倉氏。
 
 その言葉通り、Wonder LAB Osakaにはセミナーやプレゼンテーションルームはもちろん、自由に使えるキッチンや試作(SiSaKu)室、テクノショーケースやカフェまで設けられおり、オープンな雰囲気にあふれている。これまでの研究所のイメージとはかけ離れ、人が集まって、気軽に、さまざまな意見や見方を交換できるような演出が随所にみられる。
Wonder LAB Osaka
 なかでも「ライブラリー」と呼ばれている「図書室」はパナソニックが今回のラボにかけた想いとこれまでにない試みが詰まっている。棚を眺めても研究のための学術論文や専門書、学術書の類はいっさい見当たらず、さまざまな写真集や文学、歴史美術などにまつわる本が並ぶ。雑誌はIPカメラでどの冊子がどれくらいの時間もち出されたのかといった利用状況を記録し、雑誌入れ替えの判断をしている。新規で購入する雑誌は、人気投票によって選ばれ、常に必要とされている雑誌が並ぶ。種類も豊富で、誰と来ても1人でも楽しめる趣向が凝らしてある。
ライブラリー
 「企業のなかにある図書室の役割とは何かということを図書室担当として常に考えていました。そんな折、この施設ができることが決まり、『新しい図書室を作ろう!』とアイディアを出し合って作ったのがこのライブラリーです。デジタルの時代になり、電子ジャーナルでなんでも読める時代だからこそ、五感のすべてを刺激できる空間にしようと考えています」と福田氏は話す。集められた書籍はブックディレクターの幅允孝氏によって選び抜かれたもの。テーマはもちろん、本の装丁や手に取った時のさわり心地、陳列の方法までこだわり抜かれている。
 この図書室の真ん中にあるモニターに映し出されているのが「日経BPビズボード」から抽出されるデジタルサイネージの情報だ。いろいろな本を手に取りつつ、ふと視線を上げた時に飛び込んでくる。「学術情報やアイディアの種(タネ)は電子ジャーナルやライブラリーでフォローすることができると考えています。しかし、それだけでなく『日経BPビズボード』を通じて高品質のビジネス情報を入手することで、これまでにない気づきが生まれるのではないかと考えたのが導入したきっかけです」(朝倉氏)。

関連画像表示とデジタルサイネージ化はカスタマイズで実現

 ライブラリーへの導入にあたって、パナソニックが現在利用している「日経BPビズボード」には、福田氏や朝倉氏の提案がサービス提供元の日経BP社の協力によって、カスタマイズされた点が2つある。

 1つめは通常のテキスト情報だけではなく、人気記事ランキングや注目ニュース、雑誌の表紙ページなどイメージ画像を表示するように工夫していることだ。福田氏はその理由について、「自身に必要な情報を知るだけでなく、普段、自分からは進んで目にしない情報に触れることも大切だと思っています。テキストだけではなく、関連画像を表示することで、そうした情報への注目が集まると考えたのです」と話す。

 テキストのみだったころに比べると、画像イメージは目にとまりやすくなり、「情報をしっかりと活用することができるようになったと好評です」と笑う。
情報ポータルサイト
デジタルサイネージ
 2つめはポータルサイトの図書室ページに大きく画像を映し出すデジタルサイネージ化。福田氏は「これも視覚的に目に付きやすくしたかったという点が理由の一つですが、やはり、いつも最新の情報が流れているのを感じてほしかったということがあります」という。研究者にとって、必要な情報を迅速に入手することはとても重要。福田氏ら担当者の作業なしで、キーワード登録によって自動クリッピングされる「イノベーション」「人工知能」「エネルギー」等に関する記事コンテンツとビズボードの人気記事ランキング、日経の注目ニュース、図書室からのお知らせ等を、1日に3回、最新の情報が自動更新で提供できるようにし、「常に動いている画像からの情報は多く人の目に留まるようになり、私たちが作るライブラリーや研究者向けのポータルサイトのなかでも抜群の存在感を示してくれています」(福田氏)。

情報精度向上へAI活用も 個人ごとに異なるニュース配信検討

朝倉氏と福田氏
 最近ではライブラリーだけでなく、社員が集まる食堂などにも導入してほしいという声が出ているほか、それぞれのカンパニー企業での利用も進んでいるという。「『日経BPビズボード』のデジタルサイネージがあることで、作業中でもふと目をやる楽しみがあるという声を聞くことがあります。そうやって楽しみながら、目にする情報が種(タネ)になり、新しい発明につながっていけば、これほどうれしいことはありません」(朝倉氏)。

 強要されるのではなく「楽しんで」情報を拾うことは、より自由な発想につながる。「今後はより精度の高い情報を集めるためにも、AI(人工知能)を活用し、イノベーターたちに必要な情報をえりすぐって提供していきたいと思っています。個人個人の強みを向上させ、それをいかせるように、プライベートアカウントごとにニュースが提供されるような仕組みが作れたらいいですね」と福田氏。将来は利用者の検索キーワードや閲覧数などを自動的に解析することで、よりフィットする情報を配信する仕組みをイメージしているようだ。
 エレクトロニクス、IT、モータリゼーション、ライフ・リビング、環境などの幅広い分野に渡る先進的なテクノロジーを持ち、日本を代表するグローバルエクセレントカンパニーとして、成長が期待されるパナソニック。次の100年に向かって、イノベーターたちの成長、外部との共創をさらに活性化させるためにもますます、迅速で精度の高い情報収集が求められることは間違いない。そのためにも「日経BPビズボード」を活用するアイディアは尽きない。
 
(日経MM情報活用塾メールマガジン9月号 2018年9月25日 更新)

企業プロフィール

企業名 パナソニック株式会社
事業内容 家電・住宅・車載・B2Bの4つの事業領域
代表者 代表取締役社長 津賀 一宏
本社所在地 大阪府門真市大字門真1006番地
資本金 258,740(百万円)(2018年3月31日現在)
従業員数 274,143人(2018年3月31日現在)
Webサイト https://www.panasonic.com/

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