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メタウォーター

導入事例 Case Study
メタウォーター

激変する経営環境の中、
情報共有化で社員の一体感を醸成

メタウォーター株式会社

経営企画本部 経営管理部 担当課長 赤木 伸也 氏
       経営管理部 主任   青木 未知子 氏
       広報部   担当課長 千葉 弘行 氏

 メタウォーターは、水環境の総合エンジニアリング会社として、機械設備・電気設備の両市場でトップクラスのシェアを誇る。さらに、クラウド型プラットフォームによるウォータービジネスクラウド(WBC)で上下水道の事業運営を支援する新たなサービスを展開している。
 現在、公共インフラである水道事業をはじめとする水処理事業分野は大きな転換期を迎えている。
アベノミクスの成長戦略では、公共サービスにおける民間活用が盛り込まれているが水道事業も例外ではない。環境変化に合わせて、業界内の再編も進む中、社員間での様々な情報共有をいかに迅速に効率的に行うかが経営戦略上、大きなポイントとなる。どのように、その情報共有が行われているのか、お話を伺った。

水道事業を取り巻く環境は激変

 日本の水道インフラは、世界的に見ても質が高い。普及率を例にとると、上水道は97%、下水道は75%と、世界でもトップクラスを誇っている。しかし、その設備・施設の多くは高度成長期に整備されたものだ。つまり、現在は老朽化が進み、大更新時代を迎えているという。
その一方で人口減少問題が、水道事業にも大きく影響する。上下水道の利用者が減り、料金収入も減少してしまうためだ。特に人口減少が著しい自治体では、運営自体がままならないのが現状だ。

 そこで、この現状を打開するのが民間の活用である。アベノミクス成長戦略の第3段では「民間活力の爆発」というキーワードで、道路や空港、水道などのインフラに民間を活用することが謳われている。
すでに水道事業では管理運営を民間に委託するなどの動きが出始めており、これらの経営環境の変化に合わせて、今、業界自体が協業や提携を活発に行っているほか、新規参入など、大きな転換期を迎えている。

まずは合併二社の情報共有から

 実はメタウォーターも2008年、日本ガイシの子会社であるNGK水環境システムズと富士電機の子会社である富士電機水環境システムズが合併してできた会社だ。両社は機械設備と電気設備のトップメーカーである。しかし同じ水環境部門でも、機械設備と電気設備ではまったくと言っていいほど企業文化が違うという。

 「当然お互いの細かい業界の情報は知りません。お互いがどんな情報を必要としているのかを知ることも社内コミュニケーションの活性化には大切なことです。水環境の総合エンジニアリング会社として、お互い知っておくべき情報が増えました」(赤木伸也氏)。

 例えば、以前は機械設備のことだけ知っていれば良かったが、電気設備の情報にも気を配るようになった。加えて、目まぐるしく変わる事業環境をいち早く社員が共有するために、社内の情報戦略を効率的、効果的に行う必要が出てきた。

 「当初は新聞の切り抜きなどで情報収集をしていましたが、それでは効率が悪く、全社員には行き届きませんでした。そこで、日経テレコン Knowledge Passport(以下、KP)を導入しました。現在は、社員約2,000人がKPによる記事クリッピングに目を通し、日々の業務に役立てています」(赤木氏)

 メタウォーターでは、毎日社内イントラに目を通すことが義務付けられているが、KP導入により、メタウォーター設立時よりも、イントラのアクセス数は増えているという。

 具体的な記事クリッピングの内容は、水環境に関わることはもちろん、競合他社の動向、各水道事業体の動向などである。

 「最近ではアライアンスに関する記事を重視しています。水道事業の変化にともない、アライアンスも活発に行われています。"競合会社が共同で新技術を開発した""新しいエリアに進出した""入札情報"。とにかく業界再編の動きが、いろいろなところで、いろいろな形で行われています。それから、自社のニュースリリースの情報も大事です。情報が行き届かず、お客様に聞かれて『知らない』ということが無いよう気を付けています」(千葉弘行氏)

 また、役員やマネージャークラスは、配信された記事の閲覧ランキングをチェックしているという。「社員がどんな記事に関心を持っているかを知ることは、現場の動向を把握することにもつながります」(青木未知子氏)。

役員、マネージャーには、経営環境に関する情報をモバイルで共有

 メタウォーターでは、役員及び幹部マネージャーにタブレット端末が配布されている。出張などの移動も多く、自席でPCに目を通す時間がとれない。そこで、クリッピング機能などがスマートフォンやタブレット端末でも閲覧できる「日経テレコン スマートクリップ」を導入した。

 「例えば早急な経営判断が問われるコンプライアンスに関わる情報は、すぐに共有する必要がありますが、日経テレコン スマートクリップなら、移動中に車内や新幹線でチェックできます。全社テーマのキーワードをKPとは変えて、役員・幹部マネージャー向けに五つほどのテーマを設定し、記事をクリッピングしています。水環境関連以外にも経営責任など経営に関するキーワードです」(青木氏)

 大きな業界の動きがあると、役員から部門長に「あの記事を見たか? うちはどうなっている?」という確認や指示がいくケースも少なくない。その点、スマートクリップでは、選定した記事に「ピックアップ」のタグが付き(管理者機能)、優先表示されるので意思の疎通も早いという。また、マイテーマでは、個人ごとに業務に関するキーワードを設定し、情報収集に活かしている。

経営環境の変化に対応するために、社員の情報共有が欠かせない

 「業界の構図が変わればわれわれのビジネスモデルも変わります。それくらい、業界全体が大きな転換期にあります。そうなると、異業種とのコミュニケーションが必要だったり、パートナー企業が変わったりして、その都度必要とする情報も変わってきます。その時々で、クリッピング記事のキーワードを変更すれば、ほしい情報がすぐに共有できるのも使い勝手が良い。また、それをしなければ取り残されてしまいます」(赤木氏)

 日本の水業界では、人口の減少、施設の老朽化など、上下水道サービスをどう維持していくのか、さらには団塊の世代にあたる熟練技術者の大量退職にともなう技術者不足をどう解消するのか、業界の課題は多い。

 これらの課題を解決するためにメタウォーターが提案しているのがウォータービジネスクラウド(WBC)だ。WBCは、クラウド上に共通プラットフォームを構築し、上下水道インフラに関する知見、ノウハウ、技術を集め、共有化することで上下水道の事業運営を支援するサービス。すでに、複数の水道事業体に導入されているが、次世代の上下水道インフラ向けプラットフォームとして進化し続けている。

 「実は、まだスマートクリップの機能を十分に使いこなしていないところもあります。今後は、記事に"いいね"やコメントを残せるSNS機能を活用して、より細かな情報共有を行いたいと思っています」(千葉氏)

 業界の過渡期にあっては、情報共有による社員の一体感の醸成が必要不可欠。ウォータービジネスクラウド(WBC)同様、今後も社員一人ひとりに効率よくクラウド型の戦略的な情報共有を行っていく。

(日経MM情報活用塾メールマガジン2014年7月号にて配信 2019年3月20日 更新)

企業プロフィール

企業名 メタウォーター株式会社
事業内容 上下水・再生水処理、海水淡水化等の水環境分野の各種装置類、施設用電気設備等の製造販売、各種プラントの設計・施工・請負
代表者 代表取締役社長 中村 靖
本社所在地 東京都千代田区神田須田町一丁目25番地
資本金 119億4670万8千円
従業員数 2,961人(2018年3月31日現在)※関連会社を含む
Webサイト https://www.metawater.co.jp/

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