NIKKEI Media Marketing

早稲田大学

導入事例 Case Study
国際教養学部 学部長 教授 池島大策 氏

アジアと日本、豊富で正確な情報に信頼高く
わかりやすい英語、多様性あふれる議論の出発点に

早稲田大学

国際教養学部 学部長 教授 池島大策 氏

導入しているサービス
  • Nikkei Asia(教育機関向け)

 130余年の歴史を誇る私学の雄、早稲田大学で、学部としてもっとも新しいのが国際教養学部(School of International Liberal Studies, )です。その名の通り、2004年の開設当初から数多くの留学生を迎えるとともに、すべての日本語が母語の学生に留学を義務付けるなどの画期的なプログラムで、早稲田のグローバル化の最先端を切り開いてきました。現在3000人弱の学生のうちほぼ3分の1が外国籍で、出身地も欧米やアジア、アフリカなどさまざま。世界の多様性をそのまま体現したSILSですが、ここでは誰もがNikkei Asian Review(NAR)にアクセスできるようになっています。「情報量が多く、信頼できる」とNARを教材に利用している池島大策学部長にうかがいました。
 
※2020年9月30日、「Nikkei Asian Review」の名称を「Nikkei Asia」に変更しました。

--- グローバル人材の育成には何が必要でしょうか?

キャンパス
 リベラルアーツだと思います。当学部の特徴は『専門がない』ことです。国際舞台で活躍できる人材を育てるために学部レベルで必要なのは、専門性ではありません。専門性は大学院で磨くものです。学生には少なくとも1年間の海外留学を必修としていますが、留学後に心境が大きく変化するケースも多い。専門課程の選択が早すぎると、最終的に自分のやりたいこととミスマッチが生じてしまうこともあります。当学部では専門課程よりむしろ環境・情報科学や哲学・思想、ビジネス、政治・国際関係やコミュニケーション、表現、文化・コミュニティの7分野を横断的に学んでもらい、こうしたリベラルアーツを通じて『知のインフラ』を鍛えることに主眼を置いています。
 そのために、大教室で教授がマイクを使って話し続ける一方通行の授業ではなく、20人程度でのゼミ形式の授業を重視しています。英語ができて、さまざまな状況に臨機応変に対応できるということで、卒業生は日本の有力企業や外資系など、幅広い企業や金融機関に受け入れられています。いまや早稲田を代表する看板学部のひとつに育ったという自負があります。

--- NARはいつからお使いですか?

 2016年からです。文部科学省のAIMS(日本と東南アジア地域における政府主導の学部生向け学生交流プログラム)を申請するにあたって、何かいい英語媒体がないか探しました。アジアにフォーカスし、日経のブランドもあるNARはいちばんマッチしているのではないかと考え、導入しました。AIMSは2018年中に終了しましたが、NARは図書館と共同で引き続き購読しています。

--- 導入にあたって「コンテンツが経済に偏っているのでは」などの懸念はありましたか?

 日経なので確かに経済重視かも知れませんが、就職を見据える学生は熱心に閲覧しています。他の媒体に比べ、アジアの視点で書かれた記事が多いのも良い点だと思います。日本に関する情報が多いのも重要です。海外、例えば東南アジアの提携大学などでは日本に対する関心が高い。彼らの関心に応えるためには、日本の状況を英語で適切に説明できないといけません。NARにはその点でも豊富な情報があります。
 エコノミスト誌やフィナンシャル・タイムズなどの英語は凝った言い回しも多く、必ずしも読みやすいとは言えません。その点、NARは日本人など非英語圏の読者でもわかりやすい英語で書かれていると思います。日経本紙には掲載されていないオピニオン記事が多いのも参考になります。やはり海外の専門家の視点は興味深いので。
 

--- 授業ではどのようにNARを活用されていますか?

 教授によって異なると思います。わたしは国際法や日本の外交政策などを教えていますが、その教材として世界各国のニュース記事を学生に配ることがあります。ひとつの事象について、欧米だけでなくアジアのメディアがどう伝えているかを知ることは多面的な理解のために重要だからです。『多くの情報を正確に伝えているか』という観点でメディアを選ぶと、アジアではNARを選ぶことが多くなります。特に日中関係や企業関係ではNARを使っています。
 議論を起こすための出発点としてNARを使うこともあります。学生には中国系が多いのですが、例えば中国政府に対して厳しい論調の記事を使うと、授業で『この記事はおかしい』などと議論になることがあります。ただ、中国系の学生といっても多種多様で、中国本土からの留学生のほか、香港や台湾からの学生、あるいは中華系のシンガポール人、日本で生まれ育った中国系の学生もいます。彼らの主張はさまざまですが、大学では発言や意見表明の自由はもちろん担保されていますから、中国本土では困難なイデオロギー的な議論に発展していくことが多い。それが授業の狙いでもあります。
早稲田キャンパス

--- NARの改善すべき点やご希望を教えて下さい。

 日本経済新聞の翻訳記事も多いと思いますが、本紙掲載からやや時間が経ってNARに掲載されることがあります。翻訳などに手間が掛かっているのだろうと思いますが、ニュースとして授業で扱っているため、なるべく新しい記事を配信してもらいたいという希望はあります。あとは使い方でしょうか。『こんな使い方をすればこんなことを教えることができる』といった提案があると助かります。学生にもっと興味を持ってもらうために、就職やインターン関連の情報が充実するといいかも知れません。
 

--- 本日は貴重なお話をありがとうございました。

(日経MM情報活用塾メールマガジン9月号 2019年9月26日 更新)

プロフィール

大学名 早稲田大学
創立 1882年
所在地 東京都新宿区西早稲田1-6-1(早稲田キャンパス)
東京都新宿区戸山1-24-1(戸山キャンパス)
東京都新宿区大久保3-4-1(西早稲田キャンパス)
埼玉県所沢市三ケ島2-579-15(所沢キャンパス)
学生数 41,051人(2018年5月1日現在)
学部 政治経済学部、法学部、文化構想学部、文学部、教育学部、商学部、基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部、社会科学部、人間科学部、スポーツ科学部、国際教養学部
Webサイト https://www.waseda.jp/top/