NIKKEI Media Marketing

青山学院大学

導入事例 Case Study
経営学部マーケティング学科准教授 横山 暁 氏

半期の講義通じ、「日経POS情報」を教材に
データ・リテラシー、実践的に向上めざす

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経営学部マーケティング学科
准教授 横山 暁 氏

導入しているサービス
  • 日経POS情報・SCAN CVSレシートデータ(教育機関向け)

 青山学院大学経営学部は2019年4月からマーケティング学科の講義「マーケティング・ワークショップA」のなかで、「日経POS情報」を教材として採用、半期の講義を通じて、学生たちに実践的なデータに対するリテラシーの向上と分析ノウハウやスキルを学ぶ機会を与える取り組みを始めた。これは2018年に開始したいくつかのゼミナール生を対象にした「日経POS情報SCANレシートデータ」を活用したデータ分析とその発表会をコンペティション形式で行っていること(以下、ゼミコンペ)を受けた試みで、その狙いとこれまでの進捗について、横山准教授にうかがった。

※2018年春のゼミコンペの模様はこちら 

週単位、グループ単位で課題こなす 「深掘り」調査を意識、責任感も醸成

--- ゼミコンペのように短い期間でデータを分析する場合と、半期という長いスパンで分析する違いはどこにあるでしょうか?

 ゼミコンペは春休みに行うため、学生が定期的に集まる時間が取りづらいという問題点がありました。しかし講義は毎週行われます。学生たちも各グループが講義のたびに集まって課題をみつけ、来週までに何をやってこようかを考えながらデータの集計や分析を進めているので、分析の「深掘り」ができていると思います。
 ゼミコンペでは評価を競うことが本来の狙いではありません。しかし、やはり評価の高かったグループは仮説の設定、それに対応したデータの集計・分析にしっかり取り組めていましたし、評価が低かったグループは付け焼刃なところが見えました。その点、毎週の講義でデータ分析を行うと、否が応でも翌週までに課題をこなさないとグループのメンバーにも迷惑がかかるので、結果的にじっくりと分析することができていると思います。
2019ゼミコンペの様子

「なぜ、このアイスは売れていないの?」、素朴な疑問からテーマ

--- ゼミコンペは「飲料」がテーマでしたが、講義ではどんな商品を取り上げているのですか?

日本経済新聞社 久慈未穂氏
 前期の前半では「アイス」をテーマに取り上げ「日経POS情報 SCAN」のデータから「首都圏のスーパー(コンビニエンスストアを含む)15カ月分・週次」のデータを学生に渡しています。
 学生たちはデータを使って、たとえば「なぜこの商品が売れていないのか」という課題に取り組むわけですが、そこで売れていない商品だけを調べても原因がわかりません。「じゃあ、売れている商品は何なのか?」という示唆を与えると、「こういう商品が売れている」という答えが学生から返ってきます。「では、売れている商品を調べて、売れていない商品との差異を比較したら、売れていない原因がわかるのではないか」という考えに至り、また新たな分析が始まります。
 長期の時系列データでカテゴリの推移を確認したり、特定の条件の商品を抽出してデータを作成したりすることができますので、こういう細かいやり取りをしながら分析ができるという意味では、毎週の講義で調査・分析を行う効果があると思いますね。
 特に、今回の講義では日経メディアマーケティング(日経MM)と日本経済新聞社に協力いただいて、データの見方や分析のやり方、分析結果の講評などもしていただき、実践形式で講義ができています。学生にとって、非常にいい機会になると思います。やはり教員は指導を行うだけですので、社会とのつながりという意味で日経グループに協力いただいているところは重要だと思います。

企業とのコラボレーション、カリキュラムに刺激 身に付くもの大きく

--- 企業の人たちからアドバイスを受けながら分析ができるのは貴重な経験ですね。

 青山学院大学経営学部マーケティング学科では、「Project-Based Learning(PBL: 課題解決型学習)」という形で、企業の協力を得て進めるカリキュラムを実施しています。たとえば、1年時には大手外資系のスポーツ用品メーカーや飲料メーカーに協力をいただき、提示された課題の解決にグループで挑戦する授業を行っています。大学に入学したての学生たちが、企業からテーマを与えられてグループワークに挑戦するわけですから、学生にとっては身に付くものも大きいと思います。この授業は3年時に実施するものであり、学生は2年時の講義の授業を経て1年時より様々な知識を身に着けた状況でPBLに臨みます。ですので、より実践的になりますし、その分、身に付くものが大きくなっていると思います。
日本経済新聞社 中村直文氏

次年度まで継続する計画、いまから学ぶ「データ・サイエンティストとの付き合い方」

--- 今後の授業はどのように展開していく予定ですか?

 「日経POS情報」を教材として利用した「マーケティング・ワークショッ プA」は、次年度まで実施する予定です。さらに、次年度以降、私自身のほかの講義でもこういう内容、要素を取り入れていく予定です。また、このようなデータを扱う授業の履修者の人数をもう少し増やしたいと考えています。裾野を広げて行きたいですね。やはり最近はデータを扱える人が、社会に出てから重宝される時代になっていると感じています。特にここ数年、データ・サイエンティストという職業が注目されています。私の所属する経営学部からデータ・サイエンティストになる人はほとんどいませんが、協業する機会は多分に出てくると思います。データ・サイエンティストにデータを渡して分析してもらうとしても、データそのものや分析結果の見方がよくわからない、ということではいけません。私の講義ではデータ・リテラシー(理解・活用能力)が高い学生を育てることを目標にしています。

まずは「Excel」から リテラシーのボトムアップ後、より高度な分析手法も採用へ

--- POSデータを活用して調査・分析を行うことで、学生が身に着けられる具体的なスキルというのはどのようなものでしょうか。

 1つは最低限、Excelでデータを使えるようになってほしいです。企業には、各社にBIツール(ビジネス・インテリジェンス・ツール)があると思いますが、一番の基本はやはりデータを生でみて理解できるようになることです。その意味ではExcelが最も身近で便利だと思います。集計のスキルに関してはピボットテーブルでクロス集計をするというレベルでいいと思いますが、重要なのはその分析で何が得られるのか、この集計によって何がわかるか、というリテラシーです。そういう部分が将来、有形無形で役に立つと考えています。

--- 今回の講義における取り組みをどのように発展させていくのか、将来的なビジョンを教えてください。

授業風景
 今後、カリキュラムも少し変わっていきます。1年生の前期にはさきほど話したPBLが必修課目としてありますが、後期にも必修でデータ・リテラシーの講義を入れる予定です。
 そこではデータに関する最低限のスキルの向上をめざし、データの見方、グラフの作り方、集計のやり方など基礎的な知識・技術を習得してもらいます。そういうベースができたうえで、もうワンランク上の分析を行う授業やゼミがあるとよいと考えています。
 ツールでいえば、Excelだけではなく、統計解析ソフトの「R」や「SPSS」が使いこなせるようになるとか、統計分析手法でいえば、私の専門でもあるクラスター分析を応用するとかができるようになるとよいと思っています。いずれも社会に出て役に立つスキルですから、今後、データ・リテラシーの面でボトムアップが進んでいったら、ワンランク上の講義やゼミで統計解析ソフトをしっかり扱うということもおもしろい取り組みかもしれないですね。

--- 本日はありがとうございました。

(2019年10月15日 更新)

プロフィール

大学名 青山学院大学
創立 1949年
所在地 東京都渋谷区渋谷4-4-25(青山キャンパス)
学生数 17,906人(2018年5月現在)
学部 文学部、教育人間科学部、経済学部、法学部、経営学部、国際政治経済学部、総合文化政策学部、理工学部、社会情報学部、地球社会共生学部
Webサイト https://www.aoyama.ac.jp/

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