NIKKEI Media Marketing

情報活用塾

気になるランキング Ranking

日経BPコンサルティング調べ

「人材力」上昇ランキング

企業、商品、サービス延べ1500ブランドを60,000人以上の消費者とビジネスパーソンが評価する日本最大のブランド力評価調査「ブランド・ジャパン」。コンシューマー市場(B to C)編と、ビジネス市場(B to B)編の2調査で構成され、ビジネス市場(B to B)編では認知度だけでなく、"人材"、"信用"、"環境"など、企業として重要、かつ必要不可欠な要素にも着目し、企業のブランド総合力を算出している。
今回のランキングでは、企業価値向上のための"人材"に注目。2012年と2013年の「人材力偏差値」を比較し、より"ヒト" への取り組みを強化した企業=「人材力」上昇ランキングを紹介する。

「人材力」上昇ランキング2013

上昇順位 人材力順位 ブランド名 人材力偏差値
2013年 2012年
1位
2位
TANITA タニタ 115.7 96.2
2位
31位
3M 住友スリーエム 64.6 45.9
3位
54位
KOSĒ コーセー 61.1 45.1
3位
67位
ORACLE オラクル 59.2 45.9
5位
152位
三井造船 53.1 41
6位
22位
AEON イオン 67.8 55.8
6位
19位
NISSIN 日清食品 68.2 56.2
8位
10位
IMPERIAL HOTEL 帝国ホテル 79.3 68
9位
145位
CITIZEN シチズン時計 53.2 42.7
10位
53位
JR東海 61.4 51
11位
89位
ニチレイ 56.6 46.5
11位
40位
JAL 日本航空 63.6 53.5
13位
34位
P&G 64.2 54.3
14位
160位
産経新聞社 52.3 43
15位
88位
Eisai エーザイ 56.7 47.6
15位
82位
日本ハム 57.2 48.1
15位
167位
洋服の青山 51.9 42.8
18位
13位
Canon キヤノン 74.4 65.5
19位
14位
三菱商事 72.6 63.8
20位
179位
ソニー生命保険 51.3 42.6

「人材力」ランキング2013

順位 ブランド名 偏差値
1位
OLC オリエンタルランド 124.9
2位
TANITA タニタ 115.7
3位
Google 98.7
4位
TOYOTA トヨタ自動車 88.9
5位
RECRUIT リクルート 87.5
6位
Apple アップル 82.9
7位
ANA 全日本空輸 81.7
8位
HONDA 本田技研工業 80.2
9位
Panasonic パナソニック 80.1
10位
IMPERIAL HOTEL 帝国ホテル 79.3

ブランド・ジャパンでは、調査対象ブランドの一つ一つについて、回答者にいくつかのイメージ項目を提示し、あてはまるものを選択する設問形式を採っている。

「人材力」のイメージ項目は「一度この企業で働いてみたい」、「人材が優れている」、「人材育成に力を入れている」、「従業員を大切にしている」の4項目。
つまり、「人材力」とは字義通り、人材が優れているばかりでなく、人材育成に力を入れ、従業員を大切にしており、その企業で働いてみたいと思われる企業である。

「人材力」(参考:「人材力」ランキング2013)では、124.9ポイントを獲得したオリエンタルランドが、2010年から4年連続で首位。そして、2位のタニタは、前年より19.5ポイント上昇し、「人材力」上昇ランキングで、3年連続トップに立った。
「魅力の3K」。環境カウンセラーの滝本光成さんからお聞きした言葉だ。
健康(Kenkou)、感動(Kandou)、環境(Kankyo)。ローマ字表記の頭文字がKから始まる3分野の業務に関連した仕事を指す。いずれも社会の役に立っていることが素直に実感できる仕事だ。
「人材力」上昇ランキングのトップ、タニタが「魅力の3K」企業の典型だ。タニタが掲げる経営理念は、「我々は、『はかる』を通して世界の人々の健康づくりに貢献します」である。つくる製品は体重計から始まり体脂肪計、歩数計、血圧計、睡眠計、カロリー計などすべて健康の維持、増進に役立つことを目的にしている。
製品づくりにとどまらない。
ヘルシー料理メニューを広く公開し、レシピを収録した書籍はベストセラーになった。2012年1月には、東京・丸の内に直営の「タニタ食堂」を開業。2013年には、社員の健康維持を目的とした社員食堂にまつわる実話をベースにした映画「体脂肪計タニタの社員食堂」が公開された。
タニタは「健康総合企業」とも呼ぶ存在になった。
この一連のタニタのブランド戦略こそが、3年連続「人材力」上昇トップを維持している秘訣かもしれない。

さらに上昇ランキングを見ていくと、19位に三菱商事が顔を出す。ランキングの評価基準の一つ、「人材の育成に力を入れている」。 古川洽次・元副社長(三菱自動車工業副会長、ゆうちょ銀行会長なども歴任)からお聞きした話が面白い。古川さんが取締役人事部長時代の話だった。新任幹部研修の一コマに、日本経済新聞の日曜日付「俳壇」の選者である俳人・黒田杏子さんの講義を組み込んだ。 「管理職に就いたら言葉遣い、言葉の選択眼、言葉に対するセンスをより磨かなければならない。言葉の大切さを学ぶには黒田さんのお話を聞くのが何より...」。古川さんは研修にこんな狙いを込めた。ビジネスの成果を追求するだけの猛烈管理職で終わるな、人間性豊かな幹部に育てのメッセージでもあった。

「人材力」は多角的な側面からの評価である。「人材力」ランキング上位の企業の魅力とは。
そして「人材力」上昇ランキング上位20位の企業は、どんな風に魅力を高めているのか。魅力の要素を推定、分析すれば、仕事に対する価値観の多様化が進んでいることが窺える。
(文責:日経メディアマーケティング)
(日経MM情報活用塾メールマガジン3月号 2014年3月24日 更新)