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セミナー

モノからコトへ時代の消費者心理のつかみ方

開催日時 2017年06月06日(火)
名古屋
2017年6月9日(金) 福岡
2017年6月16日(金) 東京
2017年6月21日(水) 大阪
開催地 東京
内容 ■講演:モノからコトへ時代の消費者心理のつかみ方  日経BP総研 マーケティング戦略研究所 上席研究員  品田 英雄 氏 ■プレゼンテーション:日経POS情報でつかむ2017年上半期ヒットの秘密  日本経済新聞社 デジタル事業BtoBユニット 久慈 未穂 氏

講演:モノからコトへ時代の消費者心理のつかみ方

 品田氏は「ヒット商品の象徴である三種の神器が高度成長初期の『テレビ、洗濯機、冷蔵庫』の時代からさまざまな変化を得て、現代では『エンターテインメント、スポーツ、旅行』となっているように、モノからコトへと変化してきました」と指摘。「日経MJのヒット商品番付を見ても以前は約7割がモノで3割がコトでしたが、今は逆転しています」と話しました。しかし、品田氏は同時に「モノとコトは表裏一体であり、以前は所有するだけで幸せでしたが、所有し体験しないと幸せになれなくなり、さらに次の体験が想像できないことには興味がなくなってしまいます」と分析。「コトを所有することが前提になっていることもあり、モノとコトは一概に切り離せない」と強調しました。

 品田氏によると、「今の幸せのモノサシは満足するだけではだめで、『感動』が必要です」とのこと。さらに「感動には「『発見』『納得』『達成』のステージがある」ことを教えてくれました。

 「『発見』とは今まで見たことない、食べたことがないという発見。『納得』とは物事のバックストーリーに得られる感動。プロジェクトXのようなことです。そして、デジタル時代を象徴するのが『達成』です」。

 品田氏は「これまではプロがつくっていたものを与えられ感動していましたが、今、感動は自分でつくるものです」と話し、その背景を「ミュージシャンになりたければ自分で楽曲をYouTubeで発表する、作家になりたければ自費出版で本を出す。そういったことができる時代になりました」と解説しました。そして、「このことが今の若者の欲望の特徴に表れています」と続け、「『欲しがらない』『こだわりたい』、そして『主役になりたい』です。アナ雪の唄を歌い、恋ダンスを踊って動画をアップしたり、SNSで"いいね!"をもらったりすることもその一つでしょう」と分析しました。

日経BP総研 マーケティング戦略研究所<br />
上席研究員 品田 英雄 氏

 品田氏は「このように変化する消費者心理をつかみヒット商品を生むのは容易なことではありません」と話した後、ヒットメーカーの共通項として、

(1)違いを見つける「観察力」
(2)次を予測できる「想像力」
(3)仮説をつくれる「構想力」―――を持っていることと指摘しました。
 この3つの能力は「トレーニングで向上することができる」と品田氏は強調、そのトレーニング方法を披露してくれました。

トレーニング法

 そして、「これらをチームで行い、それぞれを共有するとより効果的です。これを繰り返すと、自分だけではなく、あの人の考え方は今の消費者に近いとか、あの人の予測はよく当たるとかいうことが分かってきます。そうして、観察力、想像力、構想力のセンスを磨いていくのです」とアドバイスしました。

品田氏は講演の最後に、コト時代の消費者をつかむ3つのヒントを伝授。

コト時代の消費者をつかむ3つのヒント

プレゼンテーション:日経POS情報でつかむ2017年上半期ヒットの秘密

 久慈氏が2017年上半期のヒット商品として、まず、取り上げたのは森永乳業の「シールド乳酸菌」でした。久慈氏によると、「この乳酸菌は森永乳業が発見した独自の菌で、免疫力の高さが特長」と言います。久慈氏が注目したのはその売り方で、「森永乳業はこの独自技術を自社内で囲い込まずに、自社の非参入分野の企業に提供したことがヒットの秘密になっています」と話しました。シールド乳酸菌を使った商品は納豆や菓子、味噌汁やポップコーン、外食などに広がっており、導入企業は100社を超えるそうです。

 日経POS情報のデータによると、シールド乳酸菌を使ったタカノフーズ「すごい納豆」は発売直後の2017年2月からスーパーでの売り上げが急上昇、メーカー発表によると想定の8倍とのことです。また、森永製菓の「シールド乳酸菌タブレット たべるマスク」はドラッグストアで昨年10月から今年3月まで「まさにインフルエンザの季節に売り上げを大きく伸ばしている」とデータを解説。久慈氏は「多種多様な商品に採用されることで、売り上げの「季節」変動が小さくなり、通年で安定的に売ることを可能にしました。冬はインフル関連の商品、通年は納豆といった食品関連の商品が売れました。異分野・異業種の参入や商品の多様化に伴って、販売チャネルがスーパー、ドラッグストア、コンビニエンスストアなど『業態』も広がり、『認知度』の拡大につながりました」と分析しています。森永乳業は2017年3月期に最高益となっています。

新聞記事

 森永乳業は3月に満を持して初の自社商品となるサプリメントを発売しており、久慈氏は「こちらの売り上げは6月現在で今ひとつです。この戦略の動向が今後も注目されます」と話しました。

 次に、久慈氏はヤマサン食品工業「加熱調理済みカット野菜」にも着目し、データを使ってわかりやすく解説。カレーの具や筑前煮の具材を下ごしらえ(皮をむき、カット、ボイル)したものをパックしたもので、日経POS情報で調べると、「全国ではまだまだ目立たないものの、北陸では高い売り上げを示していることがわかります」と指摘しました。

 ヤマサン食品工業は富山県の会社で、全国でのカバー率が低いですが、久慈氏によると、「逆にいうと、取り扱いのある出現店では圧倒的な人気があるとも読み取れます。商品の市場競争力は商品力(出現店千人当り販売金額)×流通力(カバー率)で表すことができるので、(カバー率の上昇余地があるということで)商品の将来性がうかがえるのではないでしょうか」と分析しました。

久慈氏は「包丁を使わない調理の安全性、常温保存可能、そして生ゴミがでないといった特長があります。まさに、現代社会のライフスタイル、単身世帯、働く女性、高齢者世帯など幅広いターゲットにニーズがあるといえ、今後もヒットが期待できる商品です」との見方を示しました。

 このほかにも、講演では明治「カール」、タカノフーズ「すごい納豆」など話題の商品について、POS売上動向からヒット商品の特長を解説しました。