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さまざまな食のトレンドを多角的にデータ分析
カップめんの開発・販促にいかす

サンポー食品株式会社

商品開発部 平田 基 氏
広報・マーケティング部 大石 梨恵子 氏

導入しているサービス
  • 日経POS情報 POS EYES

 カップめんにおける有数なロングヒット商品「焼豚ラーメン」を持つサンポー食品(本社:佐賀県基山町)は2021年1月に100周年を迎えた老舗食品メーカー。九州の味を全国へ発信しようと商品開発・販売促進に日本経済新聞社が提供するデータ分析ツール『日経POS情報・POS EYES(以下POS EYES)』を活用しています。データをいかし、さまざまな食のトレンドを多角的に分析、ヒット商品開発につなげようとする取り組みを商品開発部の平田基氏と広報・マーケティング部の大石梨恵子氏にうかがいました。

カップめん、年間1000種以上の新商品 アナログ情報収集には限界

――まずは日経POS情報の導入の経緯についてお聞かせください。

 平田氏:日経POS情報の導入は2010年でした。それまで市場動向の調査は、主にスーパーなど店舗を直接回って情報収集したり、新聞やネットの記事を検索したりするなど、ある意味アナログな方法で行っていました。しかし、それでは正確な情報は入手できませんし、市場動向もおおよその部分しかわかりません。カップめん業界全体でいうと、年間1000種類以上が発売されているといわれています。その実態をすべて把握できるような情報をアナログな方法で入手することは無理ですし、相当な労力もかかります。
 サンポー食品も1カ月に2つ以上、年間で30程度の新商品を発売しています。商品開発の際には、競合他社の商品がどのくらいあって、どの商品が売れているのかを把握する必要があります。POS EYESならそうした情報が「ランキング」ですぐにわかりますし、「購入者属性」などを調べれば、詳細な動向分析もできます。
 食のトレンドは思った以上に短い期間で変化しています。たとえば、最近では、業界を問わず激辛ブームが起きていますが、単に辛いだけではなく、しびれる辛さなど、辛さのバリエーションも増えています。また、カップめんでは高価格帯の商品と、日常的に食べるスタンダードな価格の商品の二極化が進んでいます。コロナ禍の影響もあるのかもしれませんが、中食ニーズの高まりからか、最近は袋麺が売れ、売り場面積も広がっています。多様なトレンドの変化を見極めるためにも、POSデータの分析が必要なのです。
 
商品開発部 平田 基 氏

地域やフレーバー別など多角的にトレンドを分析 実地調査減少を補う

――具体的な活用方法についてお聞かせください。

焼豚ラーメン
 平田氏:まず、カップめん業界全体のトレンドを見極めるために活用しています。サンポー食品はとんこつ味のパイオニア的存在であり、商品も「とんこつ味」がほとんどです。しかし、4大フレーバーといわれるとんこつ、しょうゆ、みそ、塩、それぞれの商品動向を確認しています。カップめんは地域性のある商品です。フレーバー別にみると、九州ではとんこつシェアが他地域より高くなっていますが、東京ではしょうゆが一番、次にみそ、とんこつは3番目になります。東京におけるとんこつのシェアは現在、少しずつ広がっていますが、今後もまだまだ伸びると感じています。フレーバー別、地域別にトレンドを把握しながら、商品開発にいかしています。
 商品開発面ではまず、テーマに沿って、情報を収集・分析しています。たとえば、ビッグサイズのカップめんの企画が社内で立ち上がったときは、同様の商品でどのようなものが売れているのか、販売金額や個数の売れ行きはどうか、市場全体は右肩上がりなのか、下がっているのかといった、トレンド情報を分析します。POSデータでトレンドを見極めたうえで、そのトレンドにあった新商品を開発する場合もありますし、アイデア先行で、POSデータを裏付けとして活用する場合もあります。
 また、最近はコロナ禍で実店舗での調査回数が減っています。現場での棚割の状況や消費者の動向調査はとても大切なことですが、あまりできていないのが現状です。こうしたマーケティング調査を補ううえでも、POS EYESデータが貴重なデータとなっています。
 商品開発部は7人のスタッフがいて、それぞれ最低でも週に1回は必ずPOS EYESデータをチェックしています。競合他社の動向やトレンドをチェックし、商品開発会議などで意見交換をしています。インターフェイスや操作性がよく、使いやすいと思います。

レトルトカレーなど他の食品にも開発のヒント ブームも見極め重要

――POS EYES活用のメリットや商品開発に活かした例はありますか。

 平田氏:POS EYESではカップめんだけではなく、カップめんのニーズやターゲットに近いレトルトカレーなどの食品のPOSデータも参照できます。お菓子や飲料水など違った食料品分野のPOSデータをみて、商品開発のヒントを得ることもあります。さまざまな食品のデータが簡単に取り出せるのがPOS EYESのメリットだと思っています。
 あるとき、「透明な食品」が話題になり、小さなブームを巻き起こしたことがありました。透明なコーラ、透明なしょうゆ、透明なノンアルコールビールなどです。そこにヒントを得て、透明な豚骨スープや激辛スープの商品を開発したことがあります。このように、他の食品トレンドから商品開発のヒントを得ることがありますので、できるだけ幅広いカテゴリーの食品トレンドをPOS EYESで確認するようにしています。
 「激辛ブーム」だからといって、ただ辛口の商品を開発して市場に出せばいいというものではありません。具体的にどの食品市場でシェアが伸びているのか、POSデータで詳細を確認し、詳細な裏付けデータを元に検証を重ねながら、商品開発を進めていきます。特定の商品だけでなく、食品全般の激辛ブームの浸透具合を見極めることができるのもPOS EYESの特長といえますね。

調査業務の効率化進む リニューアル効果をデータで裏付け検証

 平田氏:商品開発の際には内容量をどのくらいにするかということも重要なポイントとなりますが、POS EYESでは商品の内容量のデータも入手できますので、競合商品と自社商品を常に比較検討しています。それまではメーカーのホームページで1商品ごとに調べていましたが、そうした細かい作業を行う必要もなくなり、効率化が大幅に進んでいます。カップめんは商品リニューアルがよく行われますが、これも競合や自社を含めてPOS EYESでリニューアル前後の売り上げの変化を検証し、次のリニューアルに役立てています。
 商品開発はともすると開発担当者の“好み”で行われてしまいがちです。それだけに、その“好み”が市場の潜在的なニーズとマッチしているかどうか、客観的なデータによって裏付けていく作業は必須です。その重要な裏付けの根拠となるのがPOSデータです。客観的なデータに裏付けられた検証をしっかりと行うことで、新しく開発した商品の売れ行きはまったく変わってきます。

とんこつ、めんたいこ、海苔……、九州の味を全国へ広げたい

――今後の抱負について教えてください。

 大石氏:サンポー食品は2021年1月に創業100周年を迎えました。SNSやパッケージで100周年を情報発信し、100周年キャンペーンを企画しています。キャンペーン向けの商品開発も行いました。コロナ禍のなかにあっても2020年7月期には売り上げも維持できましたし、今後さらにこの勢いを伸ばしていきたいと思っています。
 また、九州にはとんこつ以外にも、福岡のめんたいこ、佐賀の海苔といった美味しいものがたくさんあります。これらの味も、さまざまな九州の美味しいものとコラボして新しい味づくりにチャレンジし、全国へ発信していきたいと思っています。
 平田氏:サンポー食品はとんこつラーメン発祥の地、久留米ラーメンのおいしさをもっと多くの人に味わってほしいという思いから、1959年に棒状ラーメン「三宝(みたから)ラーメン」を開発、その味を受け継いだのが1978年発売のカップめん「焼豚ラーメン」です。「焼豚ラーメン」は以来、40年以上のロングヒット商品となりました。九州ではブランド力はあるのですが、100周年を機にもっと関東をはじめ全国にとんこつのおいしさを広めていきたいと思っています。
 そのためにも、POSデータの深掘りもしていきたいと思っています。POS EYESのほかにも、「日経POS情報・SCAN TREND」のような分析用のデータを豊富に提供しているサービスがあります。体験版を使ってみましたが、有効性があることがわかりましたので、今後はチャレンジしていきたいと思います。

 

広報・マーケティング部 大石 梨恵子 氏
(2021年3月3日、取材日の情報をもとに構成しています。)

企業プロフィール

企業名 サンポー食品株式会社
事業内容 即席めん(カップめん、棒状ラーメン)及び乾めんの製造販売
代表者 代表取締役社長 大石 忠徳
本社所在地 佐賀県三養基郡基山町長野230
資本金 1,200万円
従業員数 105人(2020年7月現在)
Webサイト https://www.sanpofoods.co.jp/

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