NIKKEI Media Marketing

情報活用塾

  • Oxford Analytica社 2018「グローバルな地平線」カンファレンス報告
情報活用Tips Column

Oxford Analytica社 2018「グローバルな地平線」カンファレンス報告

日経メディアマーケティング株式会社 中道里亜菜

ディスカッション・セミナー

ディスカッション・セミナーの様子

 2018年9月19日~21日に英国オックスフォード大学クライストチャーチ・カレッジで開催された「Global Horizons」のカンファレンスに聴講者として参加した。同地に本社を置くコンサルティング・分析調査会社、オックスフォード・アナリティカ社(Oxford Analytica、OA社)が毎年主催する国際会議で、国際政治・経済、社会情勢の現在と未来について討論するため、世界中から行政・立法機関や政治、大学・研究機関、国際ビジネスやメディアに携わるアナリスト、有識者や実務担当者たちが参集。OA社が提供する政治・経済情勢分析レポートのオンライン配信サービスである「Daily Brief」購読者を中心に、さまざまな意見交換や討議が繰り広げられる。本稿では今年のカンファレンスで注目を集めたパネル・ディスカッションと基調講演を中心に報告する。

多岐にわたるテーマ、31カ国280人が参加

モーニングカンファレンス

モーニングカンファレンスの様子


 35回目となる今回のカンファレンスでは、31カ国から延べ280人が参加した。プログラムは各日11テーマずつ開催される「パネル・ディスカッション」(参加者約100人)、「ディスカッション・セミナー」(参加者約20人)などで構成。国や地域別の地政学的なテーマが多いが、「未来の働き方」や「フィンテック」といった切り口のテーマも設けられた。
 今回のプログラムは3日間合計で21テーマ。米国、ロシア、中国などの各国別のテーマから、欧州、中東・アジアなどの地域別まで多岐にわたった。人気が高かったのはブレグジット(Brexit=英国のEU離脱)と中国に関するテーマ。欧州に関する討議では半分以上の時間をEU離脱についての議論に費やしていた。中国に関しては国別セミナーだけでなく、パネル・ディスカッションも開催され、参加者の関心の高さが窺えた。
 また、OA社が平日に配信する「Daily Brief」で取り上げたテーマについて議論する「モーニング・カンファレンス」も人気の高いプログラムの一つ。レポートの編集作業の舞台裏や分析過程を聞くことができるため、午前7時45分開講にもかかわらず会場は満席だった。

中国「一帯一路」のテーマに高い関心

 今回のプログラムの中で注目されたセミナーの一つは、「China’s Grand Plan」と題した中国の一帯一路についてのパネル・ディスカッションだ。参加人数も多く、時間を過ぎても参加者とパネリストの間で議論が続くなど、聴講者の関心が高いことが分かった。
 このセミナーでは米シンクタンクのキッシンジャー・アソシエイツ副会長のロバート・ホーマッツ氏がモデレーターを務め、パネリストとしてトム・ミラー氏(Gavekal Dragonomicsのシニアアナリスト)、ジェームズ・マクレガー氏(APCO Worldwide China会長)、ヌリヤ・カプラル氏(オックスフォード・アナリティカのアドバイザー、ロシア経済)、サラ・ホール氏(ノッティンガム大学教授、経済地理学)の4氏が登壇。一帯一路について様々な切り口から分析と推察を提示した。複数のパネリストが主張したのは、道路や港湾、鉄道などのプロジェクトをブルネイやラオス、パキスタンなどの周辺国・発展途上国に展開することで、中国のパートナー国を増やす地政学的狙いとともに、国内の過剰生産を解消するという経済的な側面をもつ点だ。中国の巨額の融資力になびく国は少なくないが、将来的に融資先の国や企業が債務のワナに陥る懸念も根強いという。アジアにおける米国に対抗する「中国寄り」陣営作りの面もあるだけに、リスクを指摘する発言も相次いだ。
パネル・ディスカッションの様子

パネル・ディスカッションの様子

ハッチソンNATO米大使が閉幕の基調講演

 最終日にはオックスフォード近郊のブレナム宮殿を貸し切り、豪華な「ディナーパーティー」でカンファレンスは幕を閉じた。元米国上院議員で現在はNATO(北大西洋条約機構)米代表部のケイ・ベイリー・ハッチソン大使が基調講演のスピーカーとして招かれ、ロシアの抑止や国際テロの撲滅について講演。NATOに加盟する29カ国が同じ価値観を共有し、さまざまな課題を協力して解決する重要性を強調した。
ブレナム宮殿にて閉幕式が行われた

ブレナム宮殿にて閉幕式が行われた

(日経MM情報活用塾メールマガジン11月号 2018年11月28日 更新)

◆Oxford Analytica社

 OA社は1975年設立の英国コンサルティング・調査会社。創業者であるデビッド・ヤング博士は米国のキッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官(当時)の下で働いていた経歴を持つ。主要サービスである「Daily Brief」には彼が培った情報収集・分析・レポーティングの知識やノウハウが生かされている。アナリストや有識者らと直接情報交換できる年次カンファレンスはサービス利用者から高い評価を得ている。
 日経メディアマーケティングは2015年にOA社と業務提携し、同社「Daily Brief」などの販売代理店として、企業や行政・研究機関などにサービスを提供している。