NIKKEI Media Marketing

情報活用塾

  • オックスフォード・アナリティカ、日経MMとの3年目の飛躍を目指して
情報活用Tips Column

オックスフォード・アナリティカ、日経MMとの3年目の飛躍を目指して

特別寄稿 日本の皆様へ「世界の動向を実践に役立つ知見として提供し続ける」

 今日において、地政学上の重要な問題は何かと問われるならば、私は昨年(2016年)に起きた二つの出来事を例示したい。すなわち、一つは英国のEU(欧州連合)からの離脱決定であり、もう一つは米国のトランプ大統領の選出である。おそらく、この二つの出来事は「グローバリズムからの後退」を言い表すのに最も相応しい事柄であろう。ただし、「グローバリズム時代の終焉」とは異なる。むしろ、グローバリズムが再定義されることを意味するのではないだろうか。一方で、ナショナリズム(国粋主義)が多くの国々の政治において一大勢力になるべく再浮上してきたからである。もちろん、こうしたトレンドとは別に、シリア国内・周辺地域での紛争をはじめ、東シナ海での中国の動きや欧露関係、そして、サイバーテロ攻撃も重要な問題だ。世界を覆う課題はグローバルなマネジメントへの問い掛けであり、分断の時代においてグローバルな問題をいかに解決するかということであると考える。
 当社Oxford Analytica(オックスフォード・アナリティカ)社は地政学上の課題やマクロ経済の課題についてコンサルティングする企業として1975年に設立された。崇高なビジョンと強固な設立理念に基づいて、世界を指導する各種機関に対して、複雑かつ地球規模のマクロ環境に取り組むべき道順を示すとともに、戦略、投資、運営や政策に与える意味合いを示してきた。私は2014年にエグゼクティブ・ディレクターとして当社の経営に参画した。確かに、当社は父のデビッド・ヤング博士が設立し、今でも同族会社のままである。しかし、私としては当社とともに自分を成長させながら、世界の主要な意思決定者たちに対して、引き続き信頼される会社であり続けるために、未来像を描くチャンスを得られたわけで、大変、光栄なことだと思っている。

 さて、日本の皆さん、情報に溢れた現代においては、何が起こっているかは誰もが知っていることです。しかし、そうした出来事が投資、運営、政策や戦略にどんな意味合いを持つのかということを知っている人は少ないのです。当社はこれからも、ますます複雑さを増していくグローバルで、マクロ的な状況を解きほぐしながら、当社のサービスを利用されている方々に対して、実践的かつ信頼できる知見を提供し続けていくことをお約束します。
オックスフォード・アナリティカ社 エグゼクティブ・ディレクター
David K. Young

 

Oxford Analytica社 2016 カンファレンス体験記 英知が集う充実の3日間

「年一度のアニュアル・カンファレンスに参加して」

日経メディアマーケティング株式会社 野口慶子
 英国オックスフォード 大学の最大のカレッジにして、物理学者アインシュタインや「不思議な国のアリス」の著者ルイス・キャロルら数多くの学者や文化人、政治家を生んだクライスト・チャーチ。この名門校のキャンパスに、毎秋、世界各国から政治・経済分野の英知が集まり、意見交換する3日間がある。オックスフォード大学を中心に世界の有名大学や研究機関の研究者ら1,500人以上をブレーンに抱えるコンサルティング・調査会社オックスフォード・アナリティカ社が主催する一大カンファレンスである。

 2015年春、日経メディアマーケティングが日本の販売代理店になり、世界各地の政治・経済分析レポートを掲載する有料の会員制サービス「オックスフォード・アナリティカ政治経済分析レポート」の提供を始めた。業務提携をきっかけに、カンファレンスに参加する機会を得て、2016年秋は2度目となった。

アニュアル・カンファレンスとは

 オックスフォード・アナリティカ社の創業者であるデビッド・ヤング博士は1970年代前半、米国のキッシンジャー国家安全保障問題担当大統領補佐官(当時)の下で働き、米国国家安全保障会議にも名を連ねた。英国に移った後の1975年、ホワイトハウス時代に培ったIntelligence(情報)の収集・分析技術を応用して国際政治・経済を分析するオックスフォード・アナリティカ社を設立。これまで40年にわたって世界情勢の現状把握や分析の領域で主導的な地位を占めてきた。

 クライスト・チャーチにて毎年開催されるカンファレンスは例年同様今年も開催され、33回目を迎えた。今年は44名のゲストスピーカーを含め、約200名が参加した。2016年のカンファレンスは9月21日から3日間で、参加者はすべてクライスト・チャーチで寝食を共にする。一日のプログラムは「モーニング・カンファレンス」から始まり、「パネル・ディスカッション」、「ディスカッション」と続いていく。なかでも、少人数制のディスカッションの充実度は高く、これのために毎年参加している者も多いという。

モーニング・カンファレンス

 朝7時45分から、朝食をつまみながらのモーニング・カンファレンスが始まる。総勢15名のアナリストが出席するこのカンファレンスでは、各地域担当のアナリストが各々注目すべきニュースを持ち寄り、分析内容を発表する。他の地域担当者との意見交換を重ね、編集長のポール・メイドメント氏が話をまとめ、デイリー・ブリーフの形で配信するレポートに仕上げる。毎日行われている会議であるが、この時ばかりは多くの参加者も加わる。アナリスト達がどういうニュースを選定するのか、どのような意見交換の末、レポートの形にまとまるのかといった、一連のレポート作成の過程を目の当たりにし、改めてデイリー・ブリーフ1つ配信するまでの苦労を実感する。
 朝であるにも関わらず、参加者からは熱心な質問や意見が飛び交う。この日、アジア地域に関しては、インドにフォーカスが当てられ、モディ首相の政治の現状や今後の展望についての議論が繰り広げられた。インド担当のアナリスト、メガ・クメール氏を中心に分析が述べられていく。モディ首相は外交問題を大きく発展させ、同盟国との関係も向上させた。しかしながら、国内では依然としてGDP(国内総生産)成長率の伸び悩みなど課題は抱える。在任期間の2019年までに公約は実現できるのか、といったテーマであった。各地域担当アナリストの意見が重なることで奥深い分析にまとまった印象であった。

パネル・ディスカッション「企業寄付とは」

 クライスト・チャーチ内の大教室を使い、パネル・ディスカッションが開催された。普段は学生が学問にいそしむ教室で、この3日間は熱心な議論が繰り広げられる。3-5名程度のゲストスピーカーが、それぞれのテーマに対し自分の意見や質問をぶつけあう。
 私は「企業寄付」をテーマにしたパネル・ディスカッションに参加した。メンフィス大学学部長のラジブ・グロバー氏がモデレーターを務め、オックスフォード飢餓救済委員会の代表であるアレックス・ランカスター女史ら計4名のゲスト・スピーカーたちが意見を述べていく。ランカスター女史は、企業寄付側、受益者側から双方の意見を独自の観点で整理した点が非常に興味深かった。

 寄付をしている側は慈善活動をしている感覚は全くなく、受益者側も深く考えて享受しているわけではないという指摘は的を得ており、企業の活動がどのように受け止められているかを考える良い機会となっていたようだ。また、日本より海外の方が、企業寄付活動に積極的で関心が高いことが分かった。

ディスカッション:「Brexit(英国のEU離脱)の影響は」

 このカンファレンス最大の特徴は、少人数で議論を深める「ディスカッション」である。1テーマにごとに3-5人程度のアナリストとゲスト・スピーカーが司会進行役となり、1時間半ほど参加者とグループ・ディスカッションを行う。参加者の人数は概ね5―6人で、人気のトピックスで15人程度だった。ディスカッションのテーマは地域ごとに決まっており、ロシア、アフリカなどの13の国・地域から好きなエリアのディスカッションを選択し、参加する。私は「欧州地域」のディスカッションへ参加した。「欧州地域」のディスカッションのトピックスは英国のEU(欧州連合)離脱だった。参加者の多さから世界各地でEU離脱問題へ高い関心を持っていることが伺えた。

 モデレーターであるオックスフォード大学フェローのハートマット・マイアー氏の「Brexitは本当に起きるのか?」という発声とともにディスカッションは始まった。予測できないことが多い「Brexit」について、各アナリストやゲスト・スピーカーが意見を述べていく。想像を逸したこの出来事は、想像がつかないが故に、持論の交換や根本的な疑問まで、参加者からの活発な発言が続いた。各参加者が思い思いの質問をぶつける中、私は英国のEU離脱がアジア諸国にどのような影響を与えるかについて質問した。それに対し、ハートマット・マイアー氏は「英国離脱で関税が課される恐れがあり、その点でアジア諸国との関係も少し悪くなるのではないか」と懸念を表明した。

パーティ文化について

 ディスカッションとディスカッションの間、3度の食事の時間、毎日夕刻に行うレセプション・パーティ、そして最終日に開催される「ブラックタイパーティ」と呼ばれるフォーマルなパーティまで、すべての時間が社交の場であり、まさにパーティ文化の神髄が垣間見えた。総勢200名の参加者にも関わらず、最終日にはほとんど顔見知り、という状況だった。

 特に、参加者同士やアナリスト、知識人であるゲスト・スピーカーと、懇親を深めながら意見交換やビジネスネットワークを構築している姿が印象的であった。日本のビジネスの場で多く目にする名刺交換が先立つ交流というよりも、近くの人と目が合えば、微笑んで「Hi!」という挨拶とともに、カンファレンスの感想やお互いの名前、出身地、職業やどういった目的で参加しているかといった身近な話から会話は広がっていく。その場限りの一期一会のやり取りも多いが、その場を楽しむ、という姿勢が全員から散見された。会話の中で話が合ったり、ビジネスにつながったりする話ができれば、名刺交換し、自然と今後につなげていく流れであった。
 また、カンファレンスの内容から会話が始まることが多いため、英国EU離脱や米国大統領選、さらにはそうしたテーマの自国への影響といった話題が多く、私も常に頭を悩ませながら、会話に参加していた。食事で隣の席になった参加者から、開口一番「ヒラリーとトランプについてどう思う?」と切り出されたのには正直閉口した。しかし、様々な国のビジネス・パーソンや一流の有識者ら意見交換できる機会は初めてだっただけに、大きな収穫も得た。

 今後、こうした経験を踏まえて、「オックスフォード・アナリティカ政治経済分析レポート」が日本で広く知られ、利用していただけるように、様々な機会をとらえて努めていきたい。
(日経MM情報活用塾メールマガジン3月号 2017年3月13日 更新)