Session 1 バイサイドトレーディングの概要 10:00~11:30(90分)
- 1. トレーディング業務の基本イメージ
- 2. バイサイドトレーディング部門のミッション
- ・ ファンドマネージャーとの役割分担と連携
- ・ バイサイドにおける最良執行の定義 ~ 価格の妥当性判断、説明責任等
- ・ 狭義の執行コストと広義の執行コストの認識
- ・ 執行コスト・ベンチマーク対比とコスト削減への取組 ~ 執行コスト分析ツールの活用
- 3. 執行環境を激変させた3大潮流変化と一部反転・パラダイムシフトの兆し(理想と現実のギャップ)
- ①金融ITテクノロジーの進化による取引の高度化、多様化
- ・ 取引所売買システムのバージョンアップ、クロージング・オークション導入等の制度変更とHFT(高速・高頻度売買主体)の台頭がもたらす変化
- ②世界経済危機(リーマン、コロナ)が金融規制と未曽有の金融緩和を誘発、パッシブ化に拍車
- ・ 過度で急激なパッシブ化がもたらす市場の歪みと逆風のアクテイブファンドへの期待と役割
- ③国内外の金融法制改定・規制見直し
- ・ 2018年1月施行のMiFID2看板規制 ”コミッション・アンバンドリング“の誤算により一転見直し機運のEU,英国と、猶予期間を経て2023年7月から同様政策が適用された米国金融市場との政策ギャップがグローバル金融市場に与える影響、及び国内金融機関が今後取り得る対応策
- ・ フェアディスクロージャールールが問う“リサーチ情報”の『質』と『価値』、および行政処分の実例
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- ★ 上記潮流変化にさらされたセルサイドトレーディングビジネススキームの変容
- ・ 金融規制強化によるポジション縮小と、大規模金融緩和で変わる証券会社のエクイティビジネス収益構造と大きな
落とし穴 (プライム・ブロカレッジビジネスの甘い蜜と露呈した過大レバレッジリスク)
- ・ 6年連続アナリスト総合ランク1位の大和、リサーチは一部外注でソリューションビジネスやウエルスマネジメントへのシフトを進める野村…等々、興味深い外資、日系大手証券各社の重点営業策の違い
- ・ 米・日で進む個人向け手数料(投信・株式)ゼロ化攻防の行き着く先と機関投資家への影響
- ・ ライン証券の証券サービス縮小公表と100万口座突破のPayPay証券に見るZ世代開拓競争の厳しさ
- ・ ・ 米SECも調査「ゼロ手数料」の原資の裏側(注文回送とリベート授受スキーム “ペイメント・フォー・オーダー・フロー”
- 4. 金融行政の基本目標・方針~“最良執行”に関する諸外国との対比
- ・ “金融育成庁”を標榜する監督行政の「 金融検査・監督の考え方と進め方 」に基づく最近の各施策
- ・ “資産運用立国実現プラン“(2023年12月)の「資産運用業高度化」、「アセットオーナー機能強化」
- ・ 2023年1月より施行された最良執行方針等に関する規則の影響及び、“取引所一極集中緩和”への効果
- ・ 証券各社の”最良執行方針”改定内容(プリファレンシング防止、レイテンシー・アービトラージ対策等々)
- ・ 機関投資家の”エンゲージメント”強化期待と、”大量保有報告制度”、及び17年ぶりとなる”TOBルール”見直し
- ・ 日、米、欧の関連法制との対比で見るバイサイドの最良執行義務(最良執行4要素の捉え方の違い)
Session 2 エクイティトレーディング実務 11:30~13:00(90分)
- 1. 取引の種類と執行方法
- ・ エクイティ取引の種類~ハイタッチ執行とロータッチ執行の分類
- ・ 多様化する執行手法(AIの活用領域等)と、それぞれのメリット比較
- 2. 取引の実際
- ・ 執行プラン立案、及び実際の発注と執行プロセスのモニタリング
- ・ ポートフォリオのリバランスとバスケット取引執行時の留意点(ブラインド・バスケット等含む)
- 3. 電子取引の活用事例
- ・ DMA、DSA
- ・ アルゴリズム取引(AIアルゴの現状)
- 4. 取引所外流動性(代替執行市場)へのアクセス
- ・ PTSとダークプール、及びこれらを活かすSOR(Smart Order Routing)
- ・ オーダー秘匿性の観点から機関投資家も神経を尖らす、HFTのダークプール及びPTS利用態様(レイテンシー・アービトラージ等の実態)
- 5. 外国株式取引の実務
- ・ 時差のある市場における発注、約定処理のタイミングと取引手法
- ・ 各国市場毎に異なるルールの把握と取引時留意事項(2024年5月実施の北米株T+1への対応)
- ・ 外国株運用の3形態
- ・ 外国為替の手当て
- ・ 外国株信用取引解禁
- ・ 欧米運用会社におけるグローバル資産トレーディング手法の傾向、及びアジア株取引におけるブローカー評価
Session 3 債券、外国為替、トレーディング、及び短期資金運用実務 14:00~15:00(60分)
~エクイティトレーディングとの差異を中心に解説~ (下記項目に関する詳細はテキスト巻末に記載)
- 1. 取引の概略
- 2. 国内債券取引
- ・ 債券売買業務の流れと実務上の留意点
- ・ セカンダリー売買のポイント(国債、事業債)と新発債取引の実務
- ・ 日銀政策変更の思惑から増加する”フェイル”や、社債発行、投資への影響等々、最近の事象解説
- 3. 外国債券取引
- ・ 取引時の留意点(時差、決済サイクル、為替の手当て、Pot方式による新発債への応募等々)
- 4. 外国為替取引
- ・ 実需為替(カバー為替)における留意事項
- ・ ヘッジ為替における留意事項、その他の留意事項と、NDF取引
- ・ 2024年5月実施の北米株T+1導入で懸念される東京外為T+0対応の諸リスク等
- 5. 短期資金取引
- ・ 日銀金融政策変更(マイナス金利解除)に伴う運用会社余資運用の対応変化
Session 4 執行コンプライアンスとトレーディング関連事項 15:00~17:00(120分)
- 1. グローバル潮流の変化と、国内市場へのインプリケーション
- ・ MiFID2の看板規制“コミッション・アンバンドリング”(株式委託手数料の内訳開示)の見直しを余儀なくされたEU、英国それぞれの金融当局の思惑と背景
- ・ コミッション・シェアリング・アレンジメント(CSA)の内容と、”日本版CSA”実現の難しさ
- ・ EU圏内金融機関への再委託、及びEU圏内金融機関からの運用受託時のMiFID2対応
- ・ 国内公的年金の”ソフトダラー”に対するスタンス
- 2. 国内市場における執行コンプライアンス関連共通課題と最良執行への取り組み
- ・ HFT(高頻度・高速取引)唯一の日系ファームを含む登録業者の素顔と内外当局による規制、及び登録業者の少なからぬ離脱に見る厳しい競争の実態(金融庁によるHFTへの監督指針内容等も含む)
- ・ PTSの現状と拡大への課題(2023年6月東証の呼値縮小対象銘柄TOPIXミッド400拡大の影響)
- PTSによる信用取引認可(2019年8月)後のシェア拡大を受けたHFT等の利用動向、及び政省令見直し内容(個人向け取引のプライス重視の執行義務付け)後の変化 ~”Comply or Explain”~
- PTS利用促進への道筋としての政省令見直し内容(個人向け取引のプライス重視の執行義務付け~”Comply or Explain”~)
- 2022年6月27日オペレーション開始の新PTS(ODX)を加えて国内3社体制となるPTSの今後の展望
- 3. 執行コンプライアンスと社内牽制機能の実際
- ・ 牽制・監視機能と売買監査の基本項目
- ・ 執行コンプライアンス・チェックのポイント ~特に法令違反回避に向けた留意点
- ・ 金商法上の禁止行為等(“相場操縦”と看做されて証券取引等監視委員会に告発された最近の事例解説)
- ・ トレード・モニタリングの実務(株式IPO、新発債応募ルールのポイント等含む)
- 4. ブローカー選定・評価ポリシーと実務
- ・ ブローカー選定規則の枠組みと選定委員会の設置ポリシー
- ・ 評価項目と評価実務、及び関連部門間の評価ウエイトの考え方 ~ 悩ましい“リサーチ”評価の対応等
- ・ 評価結果レビューの考え方と留意点
- ・ 債券、為替取引ブローカーの評価と選定(何故、債券・為替業者のスコアリングが一般的ではないのか)
- ・ 発注停止・発注先リスト除外措置の考え方と一般的なルール(最近の当局告発事例への対応と併せて解説)
- 5. トレーディングシステム・インフラ(各種ツールの主要機能の違い、特徴等も解説)
- ・ OMSとEMS
- ・ 電子取引ツールと執行分析ツール
- ・ 執行コンプライアンス関連ツール
- ・ “AIトレーディング”の期待と現実(アカウンタビリティの壁等々)