NIKKEI Media Marketing

セミナー

  • Oxford Analytica×日経メディアマーケティング特別セミナー

Oxford Analytica×日経メディアマーケティング特別セミナー

 日経メディアマーケティングは2018年5月31日、英コンサルティング会社のOxford Analytica(オックスフォード・アナリティカ)社と共催で、「中国のグローバル化がもたらすインパクト」と題した特別セミナーを開催しました。

写真:パネルディスカッション
開催日時 2018年05月31日(木)
16時~19時30分(15時30分開場)
開催地 東京
プログラム

第1部

「China's globalisation and its impact on Japan」

新潟経営大学 教授 Ivan Tselichtchev 氏
オックスフォード大学 教授 Ian Neary 氏
ジャーナリスト Reshma Patil 氏

「中国習近平体制と米国トランプ政権の日本の政治・経済への影響」

日本経済新聞社 編集委員 兼 テレビ東京WBS解説キャスター 滝田 洋一 氏
 

第2部

パネルディスカッション

モデレーター:日本経済新聞社 編集局 企業報道部シニアエディター 長谷川 聖子 氏

懇親会・交流会

 第1部の講演では、Oxford Analyticaアナリストを務めるイワン・ツェリッシェフ氏(新潟経営大学教授兼日本経済研究センター客員研究員)、イアン・ニアリー氏(オックスフォード大学セント・アントニーズ・カレッジ教授)、レシュマ・パティル氏(ジャーナリスト)のほか、日本経済新聞編集委員兼テレビ東京WBS解説キャスターの滝田洋一氏に登壇いただきました。続く第2部は、長谷川聖子氏(日本経済新聞社編集局企業報道部シニアエディター)がモデレーターを務め、4人の講師によるパネルディスカッションを行いました。

写真:パネルディスカッション

 「中国のグローバル化がもたらすインパクト」 各講師の講演要旨は次の通りです。

イワン・ツェリッシェフ氏 「一帯一路構想、中国の指導力誇示が狙い」

 政府が後ろ盾となって中国企業をグローバルプレーヤーに引き上げようとする国主導のパターンが西側諸国や日本と異なるものの、中国はソ連の失敗を教訓に経済効率も意識して進めている。2010年に1.06倍だった中国と日本の名目GDPの格差は、IMF予測によれば2020年に2.5倍、2023年に3.6倍まで拡大する見通しで、ボクシングの違う階級のように国際社会における力関係を変えつつある。一方で中国の産業の高度化に伴い価格競争力は低下しており、日本企業にとっては好機と言えるだろう。また、中国の「一帯一路」構想については、特定の国々を囲い込むのではなく、世界に中国の指導力を誇示し、インフラのみならず金融や文化などさまざまな要素を取り込んだ新しい国際関係のルールを作り上げるのが狙いだ。日本はプロジェクトを選んで参加したりODA協力したりするなど、中国からの地政学的な圧力を効果的に相殺する戦略をとる必要がある。

イワン・ツェリッシェフ(Ivan Tselichtchev) 氏
新潟経営大学教授 兼 日本経済研究センター客員研究員
1956年モスクワ生まれ。1979年モスクワ大学アジア・アフリカ学部卒業後、 ロシア科学アカデミー世界経済国際関係研究所(IMEMO)に勤務。 1989年より同研究所の日本代表を務める。1993年新潟経営大学助教授、1997年教授に就任。経済学博士。サウスチャイナモーニングポストへの寄稿や、CNBCのコメンテーターなどの実績多数。英語、日本語、ロシア語の3ヵ国語で300冊以上の著書があり、近著には「ロシア経済に何が起こっているか」、「2030年の世界経済」など多数。

イアン・ニアリー氏 「中国への警戒が日印接近を加速させる」

 第二次安倍内閣が2012年に発足してから日本の国家安全戦略が進展した。13年の国家安全保障会議(NSC)創設や防衛大綱の見直し、日米豪や日印の合同演習など、日本の外交政策の多くは南シナ海進出を含む中国の海外展開をにらみ警戒した結果だ。それと並行する形で日本はモディ首相のインドに接近し、オーストラリアと並び重要なパートナーになっている。インドが17年に掲げた「アジア・アフリカ成長回廊」構想は日本と協力して域内で物流インフラ開発を進めるもので、中国の「一帯一路」構想の向こうを張って打ち出された。トランプ政権の米国が信頼しづらくなる中で、日本にとってインドは日米豪印4カ国の安保協力の枠組みにとどまらず、中国のアフリカ戦略に対抗して日本が将来アフリカ諸国と関係を深めるうえでも寄与する主要同盟国となるだろう。

イアン・ニアリー(Ian Neary) 氏
オックスフォード大学 セント・アントニーズ・カレッジ 教授
20世紀の日本の政治的、社会的歴史、特に部落地域の工業化と近代化の過程 について研究。また、日本と東アジアの現代政治と人権、工業政策、製薬業界についても研究実績が多数。オックスフォード大学内の「Nissan Institute of Japanese Studies」所長などを歴任。近著に「The Buraku Issue and Modern Japan: The Career of Matsumoto Jiichiro」のほか、「Human Rights in Japan, South Korea and Taiwan, Routledge」、「State and Politics in Japan」など。

レシュマ・パティル氏 「一帯一路が中印の領土問題を刺激、対抗の動きも」

 数年前に中国の空母建設現場を取材した際、現地で「日本に向けての示威でありインドは心配しなくていい」と言われたが、最近の中国は親インドではなくなった。「一帯一路」構想を機に対印関係が微妙に変化しつつある。中印両国は長く続く領土問題や中国の海洋南進、インドの対中貿易赤字などさまざまな懸念材料があり、中国の経済発展に関する世論調査の結果もじわじわと悪化。インドは中国が主導する中国西部からパキスタン南部グワダル港まで総延長3000キロに及ぶインフラ整備事業「中国パキスタン経済回廊(CPEC)」だけでなく、「一帯一路」構想そのものを問題視している。対抗軸としてバングラデシュ・ブータン・インド・ネパールをつなぐ回廊構想を打ち出すなど、中印は今後も競合と競争が続き、ときには敵意さえ表れるだろう。

レシュマ・パティル(Reshma Patil) 氏
ジャーナリスト
Indian Express とHindustani Times にインドの時事問題について記事提供を行う。2008年4月には、Hindustani Timesの初めてとなる北京以外の都市での中国支局設立に携わり、その後支局の運営を担った。3年半単身で中国に行き、中国の経済、政治、文化の違い、インドと中国の関係についてレポートしている。現在はムンバイ在住。著者は近著「Strangers across the Border (Indian encounters in boomtown China)」など。

滝田洋一氏 「米朝首脳会談めぐる騒動、複雑怪奇で予断許さず」

 中国習近平体制と米国トランプ政権の日本の政治・経済への影響を俯瞰すると、国際社会の最大の関心事は北朝鮮の核開発問題であり、6月12日の米朝首脳会談をめぐる騒動が米ニクソン元大統領の「狂人理論(Madman theory)」の復活といえる。米朝に中国を加えた「狂人VS狂人」の複雑怪奇な状況は予断を許さない。また、中国の通信機器大手である中興通訊(ZTE)に対する米の制裁の動きは、同社スマートフォンの心臓部を米ハイテク企業が製造しているとの報道によってよく理解でき、1980年代の日米ハイテク摩擦時のIBM事件との類似性を感じ取れる。一方、米景気の回復が金利上昇を招き、公的債務の海外依存度が高い新興国のアルゼンチンやトルコ、先進国であるイタリアにまで打撃を与えている。安倍政権の現状については、円高是正や法人税下げは実現したものの、賃上げやデフレ脱却の課題が進まず、米国との通商問題や「森友問題」が足を引っ張る状況だ。

滝田 洋一(たきた・よういち) 氏
日本経済新聞編集委員 兼 テレビ東京 WBS解説キャスター
1981年日本経済新聞社入社。証券部、金融部、チューリヒ支局、経済部、米州総局(ニューヨーク)などで勤務。論説副委員長を経て2011年から現職。2008年度にボーン・上田記念国際記者賞。著書は近著「今そこにあるバブル」のほか、「世界経済 まさかの時代」、「世界経済大乱」、「金利を読む」、「通貨を読む」、「日本経済 不作為の罪」、「日米通貨交渉 二十年目の真実」(いずれも日本経済新聞出版社)など多数。

 日経メディアマーケティングはOxford Analyticaの日本における独占代理店として、同社と連携して様々な活動を展開しています。