NIKKEI Media Marketing

コロナに克つ!注目企業登場

プロ野球の魅力をインターネットで最大限引き出し コロナ禍で疲れた人々の活力になりたい

パシフィックリーグマーケティング 代表取締役 CEO 根岸 友喜様

(動画再生時間 0:09:24)

聞き手 日経メディアマーケティング会長
  大村泰

取材日 2021年2月10日

プロ野球を盛り上げるための「パ・リーグの事業会社」として設立

--- 昨年、2020年は、コロナウイルスに明け暮れた1年となりましたが、その中でパ・リーグの8年連続日本一は明るいニュースだったと思います。おめでとうございます。

PLMロゴ
 ありがとうございます。私たちは決して「パ・リーグ対セ・リーグ」という構造だけが日本の野球界ではないと思っています。しかし、パ・リーグの球団がそれぞれ自助努力をされて、かつ福岡ソフトバンクホークスが球団としても、チームとしても、あのような素晴らしい体制と選手たちの才能で、日本一になったのは嬉しいことです。これによって、日本のプロ野球がさらに変わり、もっと面白くなっていくきっかけになったのではないかと思います。

--- そのパ・リーグを支えるパシフィックリーグマーケティングは、どのような会社なのでしょうか。


 パシフィックリーグマーケティング株式会社は2007年に設立されました。名前の通りパ・リーグ6球団が共同出資してできた会社です。2007年当時というのは、プロ野球、特にパ・リーグの中である変化が起こり始めた時期でもあります。たとえば、2004年にはプロ野球の再編があり、また日本ハムファイターズが北海道に移転しました。2005年には楽天イーグルスの設立、福岡ダイエーホークスの親会社がソフトバンクに変わり、チーム名も変更されるなど、さまざまな変化がありました。
 一方、プロ野球というと、どうしてもアメリカを中心としていろいろな物事が進んでいく傾向にありますが、そのアメリカのメジャーリーグに目を向けてみると、やはり“リーグ”という組織がきちんと機能しています。そのリーグが、フィールド上の野球だけではなく、ビジネスを進めていく担い手にもなっているのです。当時の諸先輩方は、このアメリカのリーグというモデルに着目され、その結果として当社が設立されました。パ・リーグ6球団のみならず、プロ野球全体を盛り上げるため、みんなで一緒にやっていけることはやっていこうと呼びかける、そんな会社です。

--- 根岸社長のご経歴をお聞かせいただけますか。


 私は2013年にこの会社に入社しました。実は当社に入社する前は、6年ほど楽天イーグルスで仕事をしていたことがあり、そのときプロ野球ビジネスのあらゆることを経験させていただいております。ですので、プロ野球業界に籍を置いてからすでに15年ほどになります。プロ野球業界には、野球畑でずっと続けて来られた方も多いですが、私の場合は異業種からの転職です。楽天イーグルスに入るまでは医療業界や旅行業界などでキャリアを積んできました。
 当社に入社以降は、執行役員や代表という立場から、パ・リーグ全体をどうやって盛り上げるか、あるいは当社のミッションであるプロ野球の新しいファンをいかにして増やせるか、ということに注力してきました。そして代表に就任したのが2017年です。

球場に行けなくても野球を見たいという人のニーズを吸収する

--- 貴社の業績はいかがですか。


 おかげさまで今のところ、右肩上がりで成長しています。当社の主な事業ドメインは、インターネットを使って野球のファンを増やす、あるいはその対価によってお金をいただくというもので、B to B向けのモデルもあれば、直接消費者を対象にしたモデルもあります。
 今日の社会では、インターネットで映像を見るということが、皆様にとってなじみのある環境だと思います。その環境に加え、プロ野球、あるいはパ・リーグ各球団のさまざまな自助努力が後押しをしてくれています。選手の魅力を紹介する、球場に来たらこんなに楽しいことがあるといった情報を提供し、そういったものが相まって、当社のサービス利用者も増えています。お陰様でここ数年は過去最高益を更新し、売上についても50億円程度のレベルではありますが、設立当初はほとんどゼロだったことを考えると、今のところ順調に成長させていただいています。

--- 昨年来のコロナ禍の影響はいかがでしたか。


 まずプロ野球業界全体を見ますと、球団の収益構造が来場者モデルに特化しておりますので、ビジネス的には各球団とも非常に厳しいインパクトがありました。球団によって差はありますが、売上規模で数十億円のマイナスになった球団もあります。したがって業界全体を見ると、決して良い状況ではないと言えます。
 ただ一方で、当社は先述の通り、インターネットを事業の基盤としていますので、来場者には全く依存しておりません。逆に来場されなくなったお客様がネットで視聴されるため、実はインターネットの視聴者数は前年比で2倍に伸びているのです。有料のライブで観てくださるお客様もトータルで同じくらい増えていますし、私どもが力を入れている無料のYouTubeチャンネルの再生回数も2倍以上になっています。
 そのため当社の利益自体はコロナ禍以降も減っておらず、むしろこのような環境下でもありがたいことに増加しています。売上については、試合数自体が減ってしまった影響で多少減少しておりますが、総じてコロナ禍によりそれほど大きな影響は受けていません。コロナの環境下で球場に行けなくても、野球を観たいというご要望がなくなることはありませんので、今の時点ではそういったお客様のニーズにもマッチしていると思います。

コロナ禍で疲れた多くの人に、プロ野球で元気になっていただきたい

--- 今年以降も、いろいろな作戦をお考えだと思います。


 一番大きな軸は、当社のミッションでもある「プロ野球の新しいファンを増やす」ことです。今のファンの皆様にもっとプロ野球を好きになっていただきつつ、新しいプロ野球ファンも増やして、裾野をもっと大きくしていきたいですね。
 そのミッションを達成するためには、2つテーマがあります。1つはまず、徹底的にお客様との接点を増やしていくこと。それによってお客様がプロ野球パ・リーグに消費していただく時間を長くしていきたいと考えています。幸い当社にはインターネットの映像やデータという強みがありますので、それらを中心に自分たちのメディアだけでなく外部のメディアの皆様の力を借りながら、お客様との接点と時間を増やしていくことにフォーカスしていきます。
 2つめは、お客様がどこにいらっしゃるかにかかわらず、当社のサービスを利用できるようにすることです。やはり野球はサッカーなどと比較すると、まだグローバルなスポーツとは言えない部分もあります。しかしながら、アメリカや台湾、韓国、中米などにはすでに大きな市場があり、そこにはポテンシャルファンが存在すると見ています。その潜在的な顧客層に向けて、日本のプロ野球、そしてパ・リーグの良さをもっと伝えていきたい。
 具体的には、実は2020年のコロナ騒ぎが始まった後の話ですが、アメリカの市場に初めてパ・リーグとして進出しました。現地の放送局と組み、パ・リーグの試合を放送させていただいたのです。結果はまだインターネットライブで1試合当たり3000名くらいしかご覧になっていないような状況ですが、時差をはじめいろいろな問題を考えると、すごく良い手応えまではいかないにしても、「悪くない手応え」を感じています。やはり新しい市場を作るのには時間がかかりますので、諦めずに、もっと将来を見据えてやっていきたい。とくに今日のコロナ禍で皆様がなかなか外に出られない状況を考えると、アメリカの方々でも、それ以外の国の方々でも、インターネットを通じて日本の映像番組を見ることに、それほど違和感を覚えないと思います。
 今までは「待ち」でしたが、これからは「攻め」の姿勢で、インターネットを活用し、そういった潜在的な利用者を増やしていきます。そして日本の国内外を問わず、プロ野球全体の新しいファンが増えたらいいなと思っております。

--- 最後にメッセージをお願いいたします。


PLMオフィス  いまは、コロナウイルスの世界的パンデミックの時でもあり、皆様なかなか家から出られなかったり、思ったような活動ができなかったりする不自由さを感じていることと思います。さらにはご家族・ご友人などの安否も心配なことでしょう。やはりいまは、生命を守ることが最優先される時期だと思っています。
 その点、プロ野球というのは、どうしても娯楽でありエンターテインメントですので、当然、生命の優先順位よりも下がるのは事実です。しかし一方でこのような時代、このような環境だからこそ、プロ野球が持っている力で、皆様にもっと笑顔をお届けし、明るい気分になっていただきたいと考えます。それがプロ野球の、そしてパ・リーグの重要な役割の1つだと思います。
 今後もプロ野球の、そしてパ・リーグのコンテンツの良さを当社のインターネットを中心としたサービスで皆様にお届けし、その機会を増やせるよう、あらゆる知恵を振り絞っていきたいと思います。皆様も是非、ネット上などでパ・リーグのコンテンツが目に付いたら、野球に興味があるなしに関わらず、ちょっと覗いてみてください。それを縁に、私たちのご提供するコンテンツに興味を持っていただけると、大変嬉しいです。
 
※2021年2月10日インタビュー当時の内容をもとに構成しています。

 
PLM
根岸友喜(ねぎし・ともき)氏 大学卒業後、JTBとジョンソン・エンド・ジョンソンでセールスとマーケティングを経験し、2007年に楽天野球団に入社。 事業企画と広報の責任者を務めた後、2013年パシフィックリーグマーケティングに入社、2017年より現職

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