NIKKEI Media Marketing

コロナに克つ!注目企業登場

コロナ禍のその先を見据え DX推進でタクシー事業者に寄り添い、伴走

電脳交通 代表取締役社長 CEO兼Founder 近藤 洋祐様

(動画再生時間 0:08:56)

聞き手 日経メディアマーケティング会長
  大村泰

取材日 2020年12月 2日

メジャーリーガーの夢破れ、タクシー会社の再建に乗り出す

--- 近藤社長は電脳交通の創業者ですが、電脳交通がどういう会社か、その設立の経緯なども教えていただけますか。

電脳交通
 電脳交通は、タクシー業界向けにさまざまな課題解決を行うソフトウェアの開発を行っている会社です。
 実は、私は当初、アメリカに留学してメジャーリーガーを目指していたのですが、その夢はかなわず、2010年に徳島に戻ってきました。実家では祖父がタクシー会社を経営していましたが、私が家に帰ったとき、会社の廃業を考えていました。私自身、メジャーリーガーになる夢が破れて傷心していたときでしたので、家族が困っているなら何か手伝おうと決意し、タクシー会社を引き継いだのです。
 その後、このタクシー会社の再生を無事成し遂げることができましたが、会社再生の過程で、実は向き合っていく課題は徳島だけでなく、全国どの事業者も同じような課題に悩んでいることがわかってきました。そして、自社の企業再建の中で培ったこの経験を業界全体の課題解決に役立てられないかと考え、どのタクシー事業者にもご利用いただけるようなソフトウェアを開発しました。それをもって2015年12月に電脳交通を創業した次第です。

すべての事業者が利用できる配車アプリの開発を目指して

--- 主要なサービスであるクラウド型のタクシー配車システムについてご説明いただけますか。


 2014年以降、実は日本のタクシー業界では、スマートフォンでタクシーが呼べる配車アプリが非常に普及していました。投資家の方々の期待も大きく、たくさんの資金を集めることもできました。しかし、利用者側のアプリケーションが非常に高度なものでも、それを受け取るタクシー業界側のシステムがあまり普及していなかったり、アップデートされていなかったりという課題があったのです。
 たとえば日本の法人タクシー会社の数は、登録ベースで6000社ほどですが、そのうち7割くらいが中小零細企業によって支えられています。しかし当時、業務効率化が図れるようなツールは、その規模の会社ではとても買えないような高値で流通していました。当時は世界的にも、スマートフォンの配車アプリが非常にトレンドだったと思います。そこで我々はまず、地方の中小企業でも買えるような価格で、最新のシステムをタクシー業界で広めていく必要があると考え、その開発に着手したのです。
 今取り組んでいるのは、とにかくどの事業者にも導入しやすい価格で、タクシー業界にアップデートできるさまざまな機能群を兼ね備えたシステムの開発です。これがまず弊社の主力製品になっております。

--- 昨今はコロナ禍の影響もあり、業界も非常な痛手を被っていると思いますが。


 国内に限らず、世界的にもそうだと思いますが、外食、宿泊、交通は一番大きなコロナ禍の影響を受けた産業だと思います。中でも国内のタクシー業界では、2020年の3月頃から影響が出始め、11月現在でも全国の事業者の売上が、前年比50%ぐらいまで落ちてしまっており、非常に苦しい状況です。
 弊社もタクシー事業者向けにシステムの提供を行っておりましたので、当然、お客様のほうの経営が痛んでくると、我々のシステムを導入しようかという意思決定の判断が鈍ってきます。具体的に言えば、3月、4月頃は、商談1件取るだけで非常に苦労していたこともあり、コロナ禍の皺寄せは大きかったです。
 しかし我々は、もともとタクシー事業者の経営管理を支援するため、コスト削減できるツールなどをご提供してきたわけです。その我々からすれば、コロナ禍で全国の事業者が本当に存続の危機に直面している今、経営をさらに強力に支える方法を実現していく必要があります。そのため、この半年間は、新しいシステムを開発したり、タクシー事業者のコストセンターになっている部分をアウトソーシングしたりできるような新しいソリューションをご提供することにより、なんとかタクシー業界全体が生き残れるように支援できることはないかということを模索し続けてきました。

ステークホルダーの実態を事前に知ることは世界の潮流

--- 御社では「⽇経リスク&コンプライアンス」をお使いいただいているとのことですが、このサービスをどのような形でお使いになっていらっしゃいますか?
 

 
日経リスク&コンプライアンス
「日経リスク&コンプライアンス」サービスサイトへ
 公共交通サービスとしてのタクシー業界では、年間13.7億人分くらいの輸送機会が繰り広げられています。それを担う法人タクシー会社が6000社ほどあると先ほどお話ししましたが、実はこの裏側では、経営者不足や、経営者の高齢化、マネジメントできる人材の不足といったものが課題として挙げられており、その結果、法人の統廃合も進んでいます。
 たとえば、大手のタクシー事業者が小規模事業者を買収したり、タクシー業界以外の方々が担い手不足の事業者のM&Aを行って、タクシー業界に参画したりしています。つまり、新しいステークホルダーの数が非常に増えているのです。
 そういう意味では、我々も、我々自身の持続可能性を高めるために、新たなステークホルダーの皆様としっかり向き合っていかなければなりません。そこで、事前にどのような方々と我々はお付き合いをして、これらの方々がどのような背景をお持ちなのかお調べする上で、「⽇経リスク&コンプライアンス」を非常に重要なツールとして、活用させていただいております。
 

--- 取引先企業のネガティブ情報や、財務状況、その企業の主要株主構成や役員の情報などを、きちんと調べるというのは世界の潮流のひとつですね。最後に一言コメントをいただけますでしょうか。


 タクシー業界は、市場で言うと1.6兆円、年間輸送人員が大体13.7億人の市場ですが、今回私がお話しさせていただいた内容は、実は少子高齢化が急速に進んでいる日本で全体的に進んでいる課題だと思っています。
 今まで皆さんは、公共交通というと、バス、鉄道、タクシーなど、それぞれの交通機関の性格をうまく活用して、移動手段として利用されていたと思います。国内でいえば、陸路の公共交通機関の使用料金を全て足し合わせると10兆円近くになります。また、年間では、100億人の輸送機会を超えるような状況です。
 しかし、高齢化が進んでいるこの国においては、やはりこのタクシーの「ドア・ツー・ドア」のサービスに対するニーズが、今後さらに上昇してくると見ています。その中で我々にどんなチャレンジができるのか、また、タクシー業界として今後、何ができるのか、模索しているのが今日の状況です。
 たとえば、バス、鉄道、タクシーすべての事業者がいなくなり、交通空白地帯になってしまった地域があれば、そこで人々が移動するためにはどんな交通モードが必要で、そのためにどんなソフトウェアが必要なのか、という企画を考え、実現するためのチャレンジをしなければなりません。そして、さまざまな方に、どんどんステークホルダーになっていただいて、この先もこの国で、より多くの人が自由に、かつ安心安全な状態で移動できるような社会を実現したいと思っています。そのためには、いろいろ皆様のご協力をいただかなければならないところもあると思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
 
※2020年12月2日インタビュー当時の内容をもとに構成しています。

 
電脳交通
近藤 洋祐(こんどう・ようすけ)氏。徳島市生まれ。メジャーリーガーを目指しアメリカ留学から帰国後、吉野川タクシーに入社。2012年に代表取締役に就任し、債務超過寸前の状態からV字回復を実現。2015年電脳交通を創業し代表取締役に就任。

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