ステークホルダーの実態を事前に知ることは世界の潮流
--- 御社では「⽇経リスク&コンプライアンス」をお使いいただいているとのことですが、このサービスをどのような形でお使いになっていらっしゃいますか?
「日経リスク&コンプライアンス」サービスサイトへ
公共交通サービスとしてのタクシー業界では、年間13.7億人分くらいの輸送機会が繰り広げられています。それを担う法人タクシー会社が6000社ほどあると先ほどお話ししましたが、実はこの裏側では、経営者不足や、経営者の高齢化、マネジメントできる人材の不足といったものが課題として挙げられており、その結果、法人の統廃合も進んでいます。
たとえば、大手のタクシー事業者が小規模事業者を買収したり、タクシー業界以外の方々が担い手不足の事業者のM&Aを行って、タクシー業界に参画したりしています。つまり、新しいステークホルダーの数が非常に増えているのです。
そういう意味では、我々も、我々自身の持続可能性を高めるために、新たなステークホルダーの皆様としっかり向き合っていかなければなりません。そこで、事前にどのような方々と我々はお付き合いをして、これらの方々がどのような背景をお持ちなのかお調べする上で、「⽇経リスク&コンプライアンス」を非常に重要なツールとして、活用させていただいております。
--- 取引先企業のネガティブ情報や、財務状況、その企業の主要株主構成や役員の情報などを、きちんと調べるというのは世界の潮流のひとつですね。最後に一言コメントをいただけますでしょうか。
タクシー業界は、市場で言うと1.6兆円、年間輸送人員が大体13.7億人の市場ですが、今回私がお話しさせていただいた内容は、実は少子高齢化が急速に進んでいる日本で全体的に進んでいる課題だと思っています。
今まで皆さんは、公共交通というと、バス、鉄道、タクシーなど、それぞれの交通機関の性格をうまく活用して、移動手段として利用されていたと思います。国内でいえば、陸路の公共交通機関の使用料金を全て足し合わせると10兆円近くになります。また、年間では、100億人の輸送機会を超えるような状況です。
しかし、高齢化が進んでいるこの国においては、やはりこのタクシーの「ドア・ツー・ドア」のサービスに対するニーズが、今後さらに上昇してくると見ています。その中で我々にどんなチャレンジができるのか、また、タクシー業界として今後、何ができるのか、模索しているのが今日の状況です。
たとえば、バス、鉄道、タクシーすべての事業者がいなくなり、交通空白地帯になってしまった地域があれば、そこで人々が移動するためにはどんな交通モードが必要で、そのためにどんなソフトウェアが必要なのか、という企画を考え、実現するためのチャレンジをしなければなりません。そして、さまざまな方に、どんどんステークホルダーになっていただいて、この先もこの国で、より多くの人が自由に、かつ安心安全な状態で移動できるような社会を実現したいと思っています。そのためには、いろいろ皆様のご協力をいただかなければならないところもあると思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。