NIKKEI Media Marketing

東京工科大学

導入事例 Case Study
大田 丈裕 氏

スマホサイト通じ大学の「良さ」発信
ユーザビリティ向上を徹底追求

東京工科大学

法人本部 出版部 広告課
大田 丈裕 氏

導入しているサービス
  • 大学スマホ・サイト ユーザビリティ調査

 東京工科大学は1986年に工学系単科大学として創設以来、日本初のメディア学部やバイオニクス学部(現・応用生物学部)の設置など理工系総合大学へ発展を続けている。進化する大学について、ウェブサイトを通じた「情報発信」に力を入れ、受験者数はここ数年、増加している。日経BPコンサルティングの「全国大学サイト・ユーザビリティ調査」をサイトの改善に活用、幅広い学部を持つ大学の「良さ」をわかりやすく伝えようとユーザビリティの向上に取り組んでいる。同調査2年連続総合ランキング第1位となった戦略と今後の課題を担当者にうかがった。

使い勝手の良さ、感じ方に個人差 客観的判断難しく

―――東京工科大学としてサイトの役割をどのようにお考えですか?

  東京工科大学は開学当初は1キャンパス(八王子市)1学部3学科でしたが、現在は蒲田キャンパス(大田区)が加わり2キャンパス6学部12学科となり、学生定員も約7,000人と大幅に増えました。情報系から医療系まで幅広く、それぞれの分野を希望する高校生にいかに大学の良さを伝えるかが課題となっています。単に、見た目の良いサイトで、コンテンツがたくさんあっても、使い勝手の良いサイトを作らなければ、内容を見てもらえません。サイトのユーザビリティが重要になってきます。現在はほとんどの高校生がスマートフォンで大学情報を取得していますので、スマホで使い勝手の良いサイトを作ることの重要性が高まっています。
八王子キャンパス

―――早くから、サイトの改善に取り組まれてきたと聞いています。

 当初はPC(パソコン)版だけで、各学部、学務課、キャリアサポートセンターなどがそれぞれ独自のページを作り、学生がどこを見ればいいのかわからない状態でした。どうにか改善しなければいけないということで、2007年、当時はまだ珍しかったCMS(コンテンツマネジメントシステム)を導入しました。CMSはヘッダーやフッター、そこから展開されるメニューなども決められており、ある程度、ユーザビリティの確保されたベースができていますので、コンテンツとしては非常に見やすいものになりました。
 しかし、当時、ウェブの担当になった私も元々ネットワークの分野が専門だったので、ウェブサイトをどうしたらユーザーにとって見やすく、使いやすくできるのかという知識はあまりありませんでした。ウェブの教科書などを買って、色の使い方やサイト全体の見せ方を勉強したのですが、使い勝手の良さというのは、ユーザーの個人差もありますから、自分では判断できません。周りの人の意見なども聞き、試行錯誤していたのですが、客観的な判断が難しいと感じていたとき、日経BPコンサルティングが提供している「全国大学サイト・ユーザビリティ調査」のことを知り、依頼することにしたのです。
蒲田キャンパス

「改善点」の見極めに効果、他大学との具体的な比較で明確に

―――サービス導入の効果についてはいかがでしたか?

 各学部の教授や事務局のメンバーを含めてWEB運用委員会を立ち上げていたのですが、サイトの使い勝手の良さなどは私自身の感想を言っても説得力がありません。しかし、「全国大学サイト・ユーザビリティ調査」の評価を見せると、具体的に他の大学と比較することもでき、どういう点が改善されたのか、今後どのような点を改善していくべきなのか、などを説明する際、説得材料となりました。
 当時、大学のサイトに特化して評価やランク付けを行っているのは「全国大学サイト・ユーザビリティ調査」だけだったように思います。もちろん、委員会でもその評価をそのまま鵜呑みにしているわけではありません。評価内容を確認しながら、必要なところ、重視すべきところを見極めて、対応できるところはちゃんと対応しつつ、コンテンツを更新しています。

―――「スマホ版」の調査を活用されていますね。

 スマホ版を最初に導入したのは2015年です。高校生のスマホ利用が年々、増えていることに対応し、すでに、携帯サイトをベースとしたスマホサイトを、PC サイトとは別に構築していました。しかし、2014年、スマホページを別に作ることを止め、PC サイトとスマホサイトをレスポンシブデザインに統一することをしました。そこで、PCサイトと合わせて、スマホにもしっかり対応したサイトにしていかなければいけないということで「スマホ版」調査を採用しました。

色やフォントなど細かな指摘が対策へ直結 「個別診断」も参考に

―――具体的に改善につながった例があったら教えてください。

大田 丈裕 氏
 以前はサイトの色の使い方などはあまり気にしていなかったのですが、高校生に好感を持たれる色や、よく見える色というのがあるのですね。さらに、テキストの色と背景の色の比率を考え、コントラストに気を付けることでサイトの印象がずいぶん変わるという指摘を受けた際、確かにその通りだと思いました。ちゃんと人にものを見せるということがどういうものなのか、改めて、参考になった点が多々あります。
 2017年から「個別診断レポート」も利用、標準レポートからさらに具体的な課題や改善点なども指摘され、大変参考になります。たとえば、メニュー部分のフォント間のスペースが狭いとか、スペースを取れない場合、この情報はメニューではなく他のところに配置しましょうとか、他の大学のベンチマークなどと比較しながら、具体的な対応方法をみて、対策が取れるということもあり、非常に助かっています。

―――調査項目には「見やすさ」のほかにも「操作のしやすさ」とか「インタラクティブ性」があります。

 PC版の話に遡りますが、 一時期、本学のサイトに、直接、受験生に情報を発信するサイトを設けた時期がありました。そこだけまったく違うメニューをつけたりして、サイトの中に複数のサイトが存在しているという状態だったのです。それでも受験生には、やはりこの部分に注目していただきたかったので、仕方ないかとは思っていました。しかし、2種類の導線、操作画面が存在していると、結局は受験生にとってもユーザビリティの良くないサイトになってしまうのです。日経 BPコンサルティングから指摘を受け、改善してサイトのグローバルメニューを統一しました。コンテンツはそれほど大きく変えていませんが、導線を統一したことによってサイトの中のユーザーの動きが良くなったということは解析の結果にも表れています。その点はそのまま、現在のスマホサイトにも受け継がれています。

大学受験者数の増加にも貢献、問い合わせ減る効率化も

―――ユーザーからの反応はいかがですか。

 受験生から直接うかがう機会はありませんが、新しく赴任された教員や事務職員などに聞いてみると、やはり「見やすい」という反応です。特に、ページの中の導線もしっかりできていて、教員紹介、研究紹介も連動して分かりやすいという話はいただいています。「見たいものをちゃんと見ることができている」というところが、評価されているのかなと思います。
 大学の受験者数はここ数年間、右肩上がりに増え続けています。これもサイトのユーザビリティをしっかりやって、高校生もしくはその保護者に、見せたいものをしっかり見せているという効果は当然あると思います。
八王子キャンパス
八王子キャンパス
 大学のサイトというものは、基本的に「誰にでもわかりやすく」ということが重要です。高校生と保護者の方だけではなく、地域社会、さらに言えば、社会全体に対して、本学はこういう教育と研究を行っており、これらを社会還元していきますという情報発信をしていかなければならないと考えています。それが大学の使命でもあり、それをしっかり伝えられているのはサイトのユーザビリティがあってこそだと思います。
 以前はウェブサイトに情報が載っていても、受験生や保護者の方などから電話やメールで質問が多く寄せられていましたが、そうした問い合わせの件数も減りました。ユーザビリティを考慮してサイトを作っていくことで、ユーザーの理解が高まったため、質問の件数が減ったのだと思います。ウェブサイトを見れば情報を把握できるということで、Q&Aのようなものを作る必要性も減りました。

5Gなど最新デバイス環境いかす「評価基準」が必要

―――調査内容、項目などに要望があったら、お聞かせください。

 スマホに関して言えば、今後 、LTE から次世代の超高速通信規格5Gに対応して機種が登場し、通信速度が上がっていくことによって、ストレスに対する考え方が変わってくると思います。その辺を考慮に入れて、画像や動画などの重量コンテンツについての評価などを加えていただくといいかもしれません。高校生は最新の機器を持っています。最新のデバイス環境におけるスマホサイトがその環境を最大限活用できる状態になっているかという評価基準です。今までは電話による問い合わせが多かったのですが、今後はスマホのアプリなどによるアクセスも考えられます。その辺のアクセシビリティについても最新の評価をし、そうした情報を提供していただきたいと思います。
大田 丈裕 氏
(日経MM情報活用塾メールマガジン10月号 2018年10月29日 更新)

プロフィール

大学名 東京工科大学
創立 1986年
所在地 東京都八王子片倉町1404-1(八王子キャンパス)/東京都大田区西蒲田5-23-22(蒲田キャンパス)
学生数 7,836人(2018年5月1日現在)
学部 工学部 コンピュータサイエンス学部 メディア学部 応用生物学部 デザイン学部 医療保健学部 
Webサイト https://www.teu.ac.jp/