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専修大学

導入事例 Case Study

バーチャル株式投資の銘柄選択に
NEEDS-FinancialQUESTをフル活用

専修大学

商学部 准教授 渡邊 隆彦 氏

導入しているサービス
  • NEEDS-FinancialQUEST(教育機関向け)

 1880(明治13)年に創立され、間もなく創立140周年を迎える専修大学では、21世紀ビジョン「社会知性の開発」を定め、新しい時代にふさわしい高等教育機関としての教育目標を提起しています。その中で、商学部渡邊隆彦ゼミでは、学生の将来に役立つ金融リテラシーの向上をめざし、ゼミナールの学生をバーチャル株式投資「日経STOCKリーグ」に参加させ、さらにその銘柄選定に「NEEDS-FinancialQUEST」(以下、FQ)を活用しています。そのユニークな取り組みについて、渡邊先生とゼミ生の方に伺いました。

企業への関心の間口を広げるため、バーチャル株式投資「日経STOCKリーグ」に参加

―――まず、渡邊先生のゼミでの学習内容について教えていただけますか?

渡邊氏:私のゼミナールはファイナンスコースのゼミで、2年生の後期と3年生の後期には、日本経済新聞社が野村ホールディングスの協力で行っている「日経STOCKリーグ」に参加しています。

 2~3年生を混ぜた5人くらいのチームを4~5チーム組成して、「日経STOCKリーグ」に参加しています。株式の銘柄を選んでポートフォリオを作成し、そのポートフォリオのコンセプトについて説明するレポートを書いて、日本経済新聞社に提出します。

 銘柄を選定する際には、企業の財務分析を行いますが、その段階で学生にはFQを使わせています。最初は使い方に戸惑う学生も多いですが、日経メディアマーケティングのご担当者が学生にわかりやすく指導してくださるので、あとは学生に自主的に取り組ませています。

―――ゼミにFQを導入した経緯はどのようなものだったのでしょうか?

渡邊氏:私がこの大学に着任した最初の年、ファイナンスコースの同僚の先生に勧められて導入しました。私自身はそれまでFQを使った経験がなかったので、まずはプレゼンをしてもらい、説明を聞いて、これは自分が学生にやってもらおうと考えていた「日経STOCKリーグ」に使えるのではないかと考えました。

 「日経STOCKリーグ」への参加は、着任当初から考えていました。学生は、小売りや食品など、いわゆるBtoCの企業にはなじみがありますが、たとえば自動車メーカーに部品を販売しているBtoB企業のことには関心が薄い、といった傾向があります。

 しかし、今後社会に出て行く上で、自分の間口を広げて、今まで知らなかった企業にも関心を向けていくことは大事だと思います。そういう意識を自発的に高めさせていくため、「日経STOCKリーグ」に参加させようと考えたのです。

 もっとも、自発的に参加させるといっても、分析のためのツールがなければ、いきなり学生が企業分析を行うのは難しいでしょう。そこでFQを導入することにしたのです。

3,600社の上場企業を10数社に絞り込む上で、FQは必須のツール

―――学生さんは、実際にFQをどのように活用しましたか?

ゼミ生:2年生のときには、まだ使い方もよくわからなかったので、3年生の先輩方に教えていただきながら、企業のスクリーニングを行いました。
 そのときは、「ASEAN(東南アジア諸国連合)進出企業」というテーマでポートフォリオを組みました。まずFQを使って海外売上高を指標にスクリーニングをかけ、さらに安全性、収益性などを見る財務諸表分析でふるいにかけ、残った企業を細かく分析するという手法を取りました。

 ASEAN進出企業のほかには、女性活躍企業というテーマなどもありました。私が3年生のときは、ES(従業員満足度)の高い企業をテーマにしています。

渡邊氏:「日経STOCKリーグ」にはルールがあって、最終的に銘柄は10~15くらいに絞らなければいけないのです。今、日本の上場企業は3,600社くらいありますから、そこから10社程度に絞り込むためには、さまざまな軸を考えて、スクリーニングを繰り返す必要があります。これを普通に行えば大変な作業ですから、作業の効率性という意味でも、FQは非常に役立っています。

FQを活用して、リーグでは4年連続入選

―――銘柄のポートフォリオを作成する過程で、学生さんはどういうところで悩み、それに対してどのようなソリューションを提供されましたか?

渡邊氏:たとえば、経済産業省が2014年に公表した「伊藤レポート」※では、日本企業が目指すROE(自己資本利益率)を8%以上と設定しています。こういう数値は、金融界などで働いている社会人の方ならすぐに出てきますが、多くの学生は知りませんので、私から指標を提供してあげます。
※伊藤レポート…経済産業省が2014年8月に日本企業の国際競争力向上、ガバナンス(企業統治)改革の一環として公開した報告書。正式な名称は「持続的成長への競争力とインセンティブ」。座長としてまとめた伊藤邦雄・一橋大学大学院教授(当時)の名を冠して「伊藤レポート」と呼ばれる。企業と投資家による質の高い対話も要請し、その条件整備を企業と投資家の双方に求めている。これにより、企業の中期経営計画などにROE(自己資本利益率)が具体的な数字で経営目標として掲げられるようになり、投資材料として重要視されるようになった。
 また、安全性、収益性、成長性などを見る際、ただやみくもにスクリーニングの指標を設けても、絞り込んだ企業数が変わらず、かえって作業が非効率になってしまうこともあります。そこで、スクリーニングにかける指標の組み合わせが妥当かどうかというところなども、アドバイスするようにしています。

―――ちなみに「日経STOCKリーグ」の成績はどうだったのですか?

ゼミ生:先ほどのASEAN進出企業というテーマのレポートでは、大学部門128大学627チームの中で、上位44チームに入選したほか、学部長から奨励賞をいただきました。

渡邊氏:残念ながら、昨年は入選を逃してしまいましたが、そのときまで4年連続で入選していました。「日経STOCKリーグ」で最優秀賞をとると海外研修旅行に行けるので、学生には「早く私を海外旅行に連れていけ」と言っています(笑)。

就活は企業の「スクリーニング」。ゼミの経験を役立ててほしい

―――ゼミでこのようにファイナンスのシミュレーションを行った経験が、将来的にどう役立つと思いますか? また、先生はどのように役立ててほしいと望まれますか?

ゼミ生:就職活動の面接などで、会社の財務内容についての話題も出ますので、そういうことを学んでこなかった学生よりは有利だと思います。また、私は金融機関志望なので、就職後にも、取引や与信管理などの面で、財務数値を分析した経験が役に立つのではないかと思っています。

渡邊氏:文科系の学部ですから、どちらかというと、数字になじみのない学生が多いのが現状です。もちろん、数字が全てではありませんが、数字から見えてくる企業の姿というものもありますから、こうした定量的な分析を学生のうちに経験しておくことは重要だと思います。定量的な分析に、文系の学生が本来得意とする定性的な分析も加えて複合的にみていけば、企業の姿もより立体的にみえてくるでしょう。

 もちろん、就職活動にも役立つと思います。就活も学生にとっては、ある意味、企業の「スクリーニング」のようなものですからね。

―――FQのサービスに関して、ご要望などはありますか?

渡邊氏:たとえば、女性が活躍している会社を調べるときに有効なスクリーニングの指標は、財務的な指標の中からではなかなか見つかりませんので、そういったCSR(企業の社会的責任)的な切り口の指標もあると便利かと思います。

 現状では、そうした定性的な指標に関しては、「日経テレコン」の記事検索を活用しています。まずテーマに沿って、「女性活躍」「女性役員」などの検索語を入力し、ある程度絞り込んでからFQでスクリーニングをかけるというのが現実的な作業の流れですね。

 しかし、「こんな企業があってもいいよね」という自分たちの漠然としたアイデアが、「日経テレコン」で実際に記事として紹介されているのを読むと、世の中のリアルの流れが分かってきますので、それはそれで学生には役に立っていると思います。

伺ったお話を今後のサービスにも反映させていきたいと思います。本日はお忙しい中、お時間をいただきまして、ありがとうございました。

(日経MM情報活用塾メールマガジン7月号 2018年7月30日 更新)

プロフィール

大学名 専修大学
創立 1880年
所在地 東京都千代田区神田神保町3-8(神田キャンパス)/神奈川県川崎市多摩区東三田2-1-1(生田キャンパス)
学生数 18,846人(2018年5月1日現在、大学院生含む)
学部 経済学部 法学部 経営学部 商学部 文学部 ネットワーク情報学部 人間科学部 二部(夜間部)
Webサイト https://www.senshu-u.ac.jp/