桃山学院大学
図書館事務課 課長 小山克年 氏
図書館事務課 天野由紀 氏
図書館スタッフ 後藤陽子 氏
2016年から日経BP記事検索サービス(キジケン)を導入、利用している桃山学院大学。経営から技術、教養などの専門誌が読めるキジケンは確実に定着しつつあります。授業やゼミナールの課題ではもちろん、図書館利用促進のためのクイズを解くといった楽しい取り組みを展開。学生と図書館の距離を縮め、データベース活用に積極的です。図書館事務課の小山課長、天野さん、後藤さんにお話を伺いました。
図書館では論文データベース、図書データベース、新聞データベースなどを導入して学生に利用してもらう環境を整備してきました。次の段階として雑誌データベースの充実化を検討していたところ、ビジネスからパソコン、科学、トレンド・教養など様々なジャンルの日経BP社の専門誌が読めるキジケンに出会い、2015年にテスト導入しました。実際に利用して新着雑誌が誌面イメージですぐに読めるなど好評だったので、2016年4月から本格的に利用しています。
必要な雑誌はもちろん購入していますが、すべてをカバーするのはコストや保管などの点から困難です。キジケンには日経BP社のほとんどの専門誌が収録されていて、雑誌データベースとして十分役立っていると感じています。
また学部の先生からも日経BP社の専門誌を授業で使いたいというニーズがあり、それもキジケン導入の一因でした。
図書館内に設置しているパソコンをはじめ、情報センター、さらに学内LANに接続しているすべてのパソコンから、学生、教職員は誰でもキジケンを利用できます。
学外からは、図書館のホームページを経由して「マイライブラリ」でキジケンを利用できる「リファラ認証」という仕組みを2016年に導入しました。これによって現在、学生は自宅のパソコンからでもアクセスできるようになっています。
学生の反応は非常に良いですね。実際の雑誌に掲載されている記事を画面上でそのまま読める点が、学生にとって興味をそそられているようです。それにハマってしまう学生がいて、私たちのキジケンの説明などそっちのけで夢中になって読んでいたりします。PDF形式でカラーで読めるのは、スマートフォンでWebサイトにアクセスしてテキストを読むのに慣れている今の学生にとって新鮮なのでしょう。
もう一つは、内容の信頼性が高い点です。普通のネット検索では見つからない、深掘りされた正確な記事は、日経BP社の専門誌ならではと思います。分野を問わない点もキジケンの良いところです。例えば日経ビジネスと日経TRENDYでは同じキーワードで検索した記事でも、書いてある内容も切り口も違います。それらを同じ画面上で読み比べできるのがユニークです。
これまでは図書館全体の利用方法を含めて、図書館職員が一方通行のような形で学生に利用方法を教えてきました。しかし、それでは学生は受け身の姿勢になってしまい、自らが積極的に利用するところまでなかなかいきません。
そこで"楽しさ"の要素を取り込んでみました。2016年4月から始めた「図書館Quest」と呼ぶ一連の取り組みがそれです。これは、ゲーミフィケーションというビジネスや教育分野の強化学習の概念を取り入れた手法です。動画や音楽のゲーム的な演出を取り入れた「10の鍵を探せ!」では、図書館のどの場所をどう利用すれば、このゲームをクリアーでききるのかを体験的に知ってもらう内容です。
また、図書館の活性化の取り組みとして見逃せないのは、日頃から「学生協働」(学生と図書館職員が協力して図書館利用促進のための活動をすること)に携わっているライブラリースタッフ(通称「らいすた」)によるイベントですね。代表的なものとして「謎解き脱出ゲーム」がありますが、らいすたが学生目線で考えた難易度の高いこのオリジナルクイズは、図書館の機能をフルに利用して解かなければ脱出できません。チャレンジしがいのある楽しい内容です。
図書館では適宜ガイダンスを実施しています。その中に文献探索ガイダンス「資料探しの森」があり、「図書館Quest」シリーズの一部になっています。
「資料探しの森」は、学部の担当教員の希望によって、授業やゼミの中で1クラス5~30人程度で実施する資料の検索方法に関するガイダンスです。資料全般を探索するコースと、雑誌記事に重点を置いて探索するコースの2つがあります。キジケンは後者で、信頼性の高い情報を探せる雑誌データベースとして役立っています。
学生は授業でこのガイダンスを受けなければなりませんが、利用方法を通常のやり方で教えても学生にはピンとこないのが課題でした。一般的にデータベースは正しいキーワードを使い、様々な検索機能を駆使することで情報収集の幅が広がります。教科書的な利用方法のせいか、学生にとってはつまらないのでしょう。
そこで「資料探しの森」にもクイズ形式を取り入れ、クイズを解けばポイントが貯まって景品に交換できるなど、学生が楽しく感じられる工夫をしました。
例えば「キジケンを使ってポケモンGOがビジネスに与えた影響に関する記事を探し、3つ選んで雑誌名・記事タイトル・巻号・ページを記入し、どれか一つ印刷せよ」というクイズです。制限時間は8分。印刷できたらポイントが貯まり、オリジナルの栞などに交換できます。漠然と検索させるのではなく、検索キーワードを明確に指定し、情報の出所や信頼性を学生自らが確認しつつ、クイズに答えてもらう仕組みです。
実は、ここにも学生協働のらいすたの視点が加えられています。図書館教職員である私たちがガイダンス中に手薄になっているところを学生視点でチェックしてもらい、次のガイダンスに改善策を反映させています。
(日経MM情報活用塾メールマガジン7月号 2017年7月10日 更新)
大学名 | 桃山学院大学 |
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創立 | 1884年設立(三一小学校創設) 1959年桃山学院大学(経済学部経済学科)開学 |
所在地 | 大阪府和泉市まなび野1番1号 |
学生数 | 6,508人(学部)/53人(大学院)(2017年5月1日現在) |
学部 | 国際教養学部、社会学部、法学部、経済学部、経営学部の5学部6学科 大学院4研究科 |
Webサイト | https://www.andrew.ac.jp/ |