導入事例|日清製粉| 日経POS情報 POS EYES

 食文化は地域ごとに多様性を持ち、どんな食品やメニューが人気を集め、ヒットするか「食のトレンド」も時代のライフスタイルに左右される。短期的には天候やブームと呼ばれるような流行により大きく変化する。小麦粉を中心とした原材料メーカーの日清製粉は業界のリーディングカンパニーとして、こうした多様化やトレンドに対応し、常に、新しい食文化を創造しようと果敢に取り組んでいる。マーケティング活動の第一歩として、総合スーパーや食品スーパーのPOSデータやさまざまなメディアの情報を活用したトレンド分析に大きな力を注ぐ。分析結果は営業担当者を通じて顧客の食品メーカーやレストランなどと共有化。ヒット商品・メニューの開発につなげ、ともに食文化を担う"価値営業"を進めている。

さまざまなカテゴリーを対象に分析、営業担当者はレポートを定期的にチェック

営業部 西村 圭史氏営業部 西村 圭史氏

 日清製粉は、小麦粉二次加工品の販売動向データをまとめ、社内のイントラネットを通じて、全国の営業所に配信している。営業担当者はデータを定期的にチェックし、市場動向の推移が見える資料の一つとして、顧客との商談に臨む。

 データの基本は「日経POS情報 POS EYES(以下、POS EYES)」だ。対象は小麦に関連するパン、麺、菓子などが中心となる。POS EYESを使ってデータを作成する営業本部営業部の西村圭史氏は「多様な食のトレンドを見極めていくことは簡単ではありませんが、今、売れている食品、これからトレンドとなりそうな食品を、さまざまなカテゴリーを比較して分析することで、人気が一過性のブームなのか、今後、スタンダードになりうるものなのかを判断することができます」と話す。「たとえば、低糖質がブームになっているときは『低糖質』をキーワードにした商品の販売動向がどのように推移しているのかをチェックしました」という。

 日清製粉がPOS EYESを選んだ理由について、西村氏は「とにかく、あらゆるカテゴリーが網羅されているので、比較分析するのに大変便利だから」と話す。西村氏によると、「パンひとつとってもさまざまなカテゴリーがあります。食パンは普通食パン、バラエティ食パン、サンドウィッチ食パンなどに細分化され、食パン以外では、バゲット、クロワッサン、ロールパン、ハンバーガーバンズといったテーブルパンがあります。加えて地域別の動向も含めて、できるだけ細分化したPOSデータをとるので、パンだけでも数十種類のデータになります」という。POS EYESでは加工食品で1300を超えるカテゴリー、約200万の商品アイテム、販売店舗により12の地域別データを揃えている。

 また、西村氏は「気温や湿度、降水量、日照時問などの気象情報と市場動向の関連性も簡単に確認できることもPOS EYESのメリットの一つ」という。さらに、「グラフやCSV形式のデータがダウンロードできるので、グラフをそのまま利用したりエクセルでデータを加工したりすることで簡単な作業だけで資料作成が可能です」(西村氏) 。画面もシンプルで、カテゴリーの絞り込み機能も簡単で便利のようだ。

POSの結果を裏付けるには「日経テレコン」の定性データが欠かせず

日経テレコン 記事検索メニュー    日経テレコン 記事検索メニュー

 トレンドの分析には「POS EYESとあわせて利用している総合情報データベース『日経テレコン』も欠かせません」(西村氏)。トレンドは地域性や天候のほか、時代の価値観や人々のライフスタイルの変化でも変わってくるが、それらはPOSデータだけでは読み取れないという判断だ。

 「POSデータは『結果』。なぜそうなったかという原因を探る必要があり、その際に日経テレコンで記事検索します」と西村氏。日経テレコンは日本経済新聞から各種業界の専門紙や雑誌まで500媒体を超える幅広い記事情報データを網羅。西村氏は「そこから消費者の嗜好の変化やライフスタイルの変化をつかんでいきます」という。また、時間軸で原因を追いかけることもあるようで、「過去のある時点で販売動向に大きな変化があった場合は、その時、社会でどんなことがあったのかを調べています」(西村氏) 。

 「データの変化には必ず何らかの根拠がある」という考え方からだ。

 POSの定量データとそれを裏付ける日経テレコンの定性データを組み合わせる手法である。今後の動向に影響がありそうな、注目されている出来事やイベントがあれば、日経テレコンを活用して情報収集している。たとえば、昨年から今年にかけて、ジャガイモ不足で一部の人気ポテトチップスが販売休止になったことがあった。西村氏は「今後、ポテトチップス以外の商品にどのような影響が出ると考えられるか、仮説を立てるための材料として記事検索で情報を集めました」という。

 西村氏が今、注目しているのは日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の合意。「食品業界全般に大きな影害を与えると考えております。こういった外部環境の変化についても日経テレコンで情報収集します」

 POSデータの活用は、他にも全国の営業担当者から、「この食品の売上についての月次データがほしい」といったオーダーが不定期に飛び込んでくることがあるほか、顧客からデータ調査を依頼されるケース、現場の営業担当者が営業活動の中でトレンドの兆しをつかんで依頼してくる場合もあるという。「不定期に依頼してくるときは、早急なリターンを求められることが多いですが、その際もすぐにPOSデータを取り出して渡すようにしています。時には社内会議の直前に、POSデータを出してと言われることもありますが、そういった急なオーダーでも操作性が良いのですぐに対応できます」(西村氏)。

メーカーの商品開発に役立つ情報を提供、ベストパートナーめざす

営業部 次長 濱田 恭弘氏営業部 次長 濱田 恭弘氏

 食品メーカーがPOSデータを元に商品開発を行うのはよく聞く話だが、あらためて、原材料メーカーの日清製粉が小売りのPOSデータを活用してトレンドを分析するのはなぜだろうか。

 営業本部営業部次長の濱田恭弘氏が答えてくれた。

 濱田氏も「私どものお客様も自社商品の売上動向や競合商品の販売動向についてPOSデータを駆使し、分析しておられます。分析の深さは私どもが行うレベルとは比較にならないし、逆に精緻な情報を頂く等、勉強させてもらうことが多いです」という。

 「しかし、自社で製造していない他の業界動向については、関心をお持ちでない場合もあります。私どもは、できるだけ広く食品業界を俯瞰し、多面的に傾向を見ることを心掛けており、POSデータの活用方法自体が異なります」(濱田氏)。

 日清製粉は営業担当者が独自に分析したデータを持って、顧客先に行く。濱田氏も「例えば、麺業界で起きているこのトレンドは他の業界で活かすことができないか。仮説を立てながら、お客様の商品開発やリニューアルに役に立つ情報としてご提供しています」と解説する。日清製粉では、お客様と一緒になってビジネスに取り組み、付加価値を高めて売れる商品を創造する活動"価値営業"を推進している。顧客の中には日清製粉の営業担当者が持って行く様々な情報を楽しみにしてくれる方、ファンもいるようだ。

 濱田氏は「私どもは原料素材メーカーで、B to Bのビジネスであると同時にB to B to Cのビジネスも意識し営業活動を行っています」と説明、「お客様と一緒に食文化の創造、新しい業態の開発等にも挑戦したいと思います」と意気込む。

 もちろん、同社の顧客は大手食品メーカーだけではない。中小企業や個人経営の多い飲食店などではPOSデータを持っていない顧客も少なくない。営業担当者はPOSデータを活用した同社独自の分析をもとに、新しいメニューづくりに役立つヒントを細かく提案する。「たとえば、世の中でプリンが売れていれば、その要素を取り入れた商品や販促方法を考えてみませんか?という提案をすることで、お客様の売上向上に向けた取り組みを行います。経験と勘を使った提案ではなく、POSデータという科学的根拠を元に開発することで、成功確率も高まります」(濱田氏)。

 そしていま、マーケティングに求められているのは原材料から製品・サービスに関わるメーカーや流通業者、顧客へとつながる緊密なバリューチェーンの構築といわれている。「課題解決やビジネスチャンスをお客様とともに模索していくベストパートナーでありたい」という、日清製粉の"価値営業"の試みはこうしたトレンドにまさにマッチした挑戦といえるだろう。


(日経MM情報活用塾メールマガジン9月号 2017年9月25日 更新)



企業プロフィール

企業名日清製粉株式会社
事業内容小麦粉、ふすま(表皮)、その他の加工品および関連商材の製造・販売
代表者取締役社長 山田 貴夫
本社所在地東京都千代田区神田錦町一丁目25番地
資本金148億7,500万円
企業Webサイトhttp://www.nisshin.com/company/about/seifun/
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