導入事例|一正蒲鉾|日経POS情報 POS EYES、SCAN TREND

 水産練り製品大手の一正蒲鉾はロングセラーのかに風味蒲鉾『オホーツク』を育てた業界のリーディングカンパニー。消費者の嗜好やトレンドの変化、トピックスに迅速に対応し、人気商品を幅広く生み続けている。同社のマーケティング部門はこうした独創的な商品開発やプロモーション、営業活動を「情報力」で支えており、情報収集と分析の柱のひとつがスーパーなどの店頭情報を集めた『日経POS情報』の活用という。販売最前線の最新情報をいかし、ヒットのヒントや兆しをいち早くつかんでいく同社の取り組みを紹介する。

POSデータは会社の「共通言語」、食品市場全体をチェック

 一正蒲鉾は新潟本社と東京支店にマーケティング部を持つ。新潟本社では販売促進施策の企画や立案などの営業支援や具体的な商品のパッケージ、販促物・パンフレットなどの制作を担当、東京支店では質の高い情報収集と分析を担っている。

 東京支店マーケティング部の鈴木かさね氏は「食の世界はグローバルに多様化し、トレンドの変化も早い。時短レシピが流行するなどライフスタイルが商品に影響してくることもあるし、乳酸菌や甘酒といった特定の素材がブームになることがある。こうしたトレンド情報を調査したり、分析したりすることが大切で、集めた情報は営業部隊や新潟本社の商品開発部門などで活用してもらっている」と話す。

 鈴木氏のチームが市場全体のトレンド分析に活用しているのが『日経POS情報・POS EYES(以下POS EYES)』だ。同社ではPOS EYESの前身サービスを含め、20年以上も日経POS情報を利用しているという。データに高い信頼性を寄せており、鈴木氏も「(会社の)共通言語のひとつ」と表現する。

 一正蒲鉾はPOS EYESを使い、自社商品だけでなく他社商品も含めて日次で細かい売れ行きを確認し、市場全体のトレンドを把握するために『伸びる市場』や『縮む市場』などのデータもよくチェックしているという。

 食感の軽さや健康イメージをアピールして人気を集める「サラダフィッシュ」も開発のきっかけはPOSのデータという。ダイエット効果や手軽に食べることができる「サラダチキン」のヒットを受け、同社が水産練り製品としてオリジナリティーを追加し、アレンジした。メディアなどでの受け止め方から時代のニーズをくみ取り、それをヒットに結びつけるフットワークは同社の特徴のようだ。

一正蒲鉾「うな次郎」商品画像

一正蒲鉾「うな次郎」のサイトへ

 また、最近、テレビ番組でも取り上げられてブームとなった商品として『うなる美味しさうな次郎』がある。うなぎの蒲焼きの風味を実現した練り製品だ。見た目や食感、風味の再現性が「ほぼ、うなぎ」とSNSでも拡散されたが、「開発は創業者の長年の悲願で、全国のうなぎを食べ歩くことからコツコツと開発を進めてきたが、絶滅危惧種に指定され、うなぎの値段が高騰した話題を受けて開発に拍車をかけた」(鈴木氏)という。「もちろん、開発途中にはうなぎの蒲焼きの売れ行きをPOS EYESで随時、チェックしていた」(鈴木氏)。

直近実績37カ月分、季節や気温・販促・価格など変化「深掘り」

 POS EYESで長年、時代のトレンドを分析し、柔軟な商品開発などに活かしてきた同社だが、10年ほど前から、さらに詳細なPOS情報を『日経POS情報・SCAN TREND(以下SCAN TREND)』からも収集するようになった。

 販売の最前線で具体的にどんな商品がどんな条件で売れるのか、食品メーカーとして細かく分析し、スーパーや販売店などに提案するためだ。

 同社の商品が含まれるカテゴリーは、季節や地域などの違いで大きく売り上げが左右されるという。SCAN TRENDなら直近37カ月分のデータが、商品単位だけではなく、県別でも入手が可能。気温の変化や価格、プロモーションの有無などの条件と、掛け合わせることで、より深掘りした分析に利用しているようだ。

 「たとえば、北海道で売れている商品を、関東で北海道フェアのようなキャンペーンを展開して販売した場合、どのように売れるのかといった検証ができる」(鈴木氏)。独自に指定したエクセルマクロデータを9つほど作成し、そのマクロを使って、必要なグラフなど帳票類を出力できるようにしているという。

 マクロデータの例を挙げると、次のようなものがある。

 ■千人当り販売金額の推移

  • 分 類/風味豆腐、ゴマ豆腐、板かまぼこ等、19分類
  • 期間幅/直近37カ月分
  • 業 態/全スーパー
  • 地 域/全国+地方9地域
  • サブデータ/前々年を100とした場合の千人当り販売金額の伸長率

SCAN TREND「エリア別販売動向」および「前々年を100とした場合の千人当り販売金額の伸長率」

営業担当者向けに「勉強会」、3段階に分けてきめ細かく

 一正蒲鉾ではこうしたPOSデータの見方や分析の仕方について、社内で営業担当者を対象にした勉強会も開いている。勉強会は3段階のランクに分けて実施。営業担当者はスーパーなどの販売現場で、自社商品の売り込みはもちろん、棚割の提案や市場分析を行いながら、販売店とコミュニケーションをとる。POSデータは説得材料として必須で、「時にはカタログや商談資料にもデータを掲載している」(鈴木氏)。

 営業担当者はPOSデータの結果を正しく把握し、分析する必要があり、鈴木氏は「以前はOJT(職場内訓練)でそれぞれ指導していたこともあるが、それでは営業担当者のスキルの違いによって習得レベルにばらつきが出てしまうため、一堂に集め勉強会を開くことにした」と話す。

 新潟本社の商品開発チームでもなんとかしてヒットの兆しをみつけたいと、ターゲットやエリアを特定して千人当り販売金額が飛び抜けて高くなっている商品はないか、というようなことを常にチェックしているという。

 鈴木氏は今後もPOSデータを中心に消費者調査やSNS調査などマーケティング活動を深化させて、商品開発チームとの連携をさらに緊密にしていく考え。「多様化する消費者の嗜好を確実につかみ、将来的には定番の練り製品だけではなく、売り場をにぎやかにするような商品の提供も可能にしていく」と意気込んでいる。



練り物製品をどう広めるか、レシピ普及もテーマの一つ

 かまぼこ、ちくわに始まり、練り物(練り製品)には何十種類もの商品がある。おでんの具としてだけではなく、様々な調理法があり、手軽にアレンジもきく。そんな練り物は一見、全国共通の食材のようにも思えるが、商品を細分化してみると、地域性や消費者の属性で大きく販売動向が変わってくる。

 鈴木氏も「北海道は"なると巻き"、仙台は"笹かまぼこ"、鹿児島は"さつま揚げ"といったように、地域の食文化が深く影響するため、エリアによって売れ行きが変わる」と話す。また、鈴木氏によると、若い人は練り物がおでん以外の料理に使えることを知らなかったり、おでんの作り方が分からなかったりという人も少なくないという。「自社ホームページで練り物を使った様々なレシピを紹介しているが、若い世代に食材として認識してもらうためにはレシピの普及も大きなテーマ」(鈴木氏)と強調していた。

(日経MM情報活用塾メールマガジン11月号 2017年11月29日 更新)



企業プロフィール

企業名一正蒲鉾株式会社
事業内容水産練製品および各種惣菜の製造販売、きのこ類の生産販売他
代表者代表取締役社長 野崎 正博
本社所在地新潟市東区津島屋7丁目77番地
資本金9億4千万円
従業員数968名(2017年6月期 連結)
Webサイトhttps://www.ichimasa.co.jp
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